言い訳できないトリチウム製造・排出大国の韓国

<知性も理性もない学生パフォーマンス>

東京電力福島第一原発のALPS処理水の海洋放出に抗議して、ソウルの日本大使館が入るビルの玄関前で、女子学生を含む大学生34人が髪を一斉に丸刈りにして抗議するパフォーマンスを演じて見せた。「韓国大学生進歩連合」を名乗る親北朝鮮系だと言われる学生団体で、何が「進歩」なのか知らないが、彼らからは知性も理性の欠片も感じられない。歩道を占拠し座り混む彼らの違法行為は、海洋放出を日本政府が決定した3日後の4月16日から始まり、21日午後5時に撮影した現場写真でもご覧のように7人の学生が陣取っていた。警察はただ見守るだけで排除しようとはせず、外交公館の安寧と威厳を確保しなければならないというウィーン条約に完全に違反する。

FNNプライムオンライン4/21「韓国で“丸刈り”抗議 福島第1原発「処理水」めぐり>

近くの慰安婦少女像の場合もそうだが、抗議場所を占有するため、このあとはテントが貼られ、その中に交代で泊まり込み、抗議の座り込みは半恒久化するというパターンが、韓国における一般的な抗議スタイルでもある。

そんなに有り余るほどの無駄な時間があるのなら、トリチウムをはじめ原発廃棄物に関する科学論文を探して読んでみて、少しでも専門的な知識を蓄えてみてはどうか。のちほど詳しく論じるが、韓国の原発では大量のトリチウムが製造されている事実を知っているのか。

それにしても、この問題に対する韓国の人々の発言や行動をみていると、慰安婦問題や徴用工問題の虚構とまったく同じパターンであることがよくわかる。明確な証拠も根拠もないのに、ただ感情的に騒ぎ立てるだけで、そのうちに、泥沼にはまって抜け出せなくなり、冷静に考えることさえできなくなる。自家撞着に陥った彼らの主張にはまったく説得力がない。

今回の大学生たちの理性や知性の片鱗も見えないパフォーマンス行為に、何の共感もないのは、その主張の裏付けとなる科学的な根拠や証明がなく、自分たちの行為がどういう意味を持っているのか、おそらく本人たちも分かっていない。

<非科学的な漁民の主張と非論理的メディア>

学生だけでなく、韓国の漁民もとんでもない主張をしているが、それを無批判に取り上げ、なおさら煽りたてる韓国の大手メディアにも、まともな知性や判断力は感じられない。

韓国忠清南道の漁民が日本糾弾大会を開き、「原発汚染水海洋放出決定は韓国国民と全世界人類に対する核攻撃と同じ破滅的行為だ」とし、直ちに海洋放出決定の撤回を促したと中央日報が伝えた。

<中央日報4/20「韓国忠南地域漁民「核攻撃のような破滅的行動」…日本糾弾大会開催」

ALPS処理水の海洋放出が「全人類に対する核攻撃と同じ破滅的な行為」だというなら、トリチウムを年間220億ベクレルも排出する韓国月城(ウォルソン)原発はすでに何回分の核攻撃を行なったことになるのか。米国のランド研究所と韓国峨山政策研究院は「北朝鮮は2027年までに最低151発、最大で242発の核兵器を保有する」と報告しているが、狂気の金正恩にそれほど大量の核兵器を保有させておくことこそ、人類への破滅的な行為ではないのか。

慶尚南道巨済(コジェ)の漁民は19日、「汚染水が韓国の海岸に流れ込めば、魚介類の産卵場がなくなるなど、海洋生態系が破壊されてしまう」として、漁船50隻あまりが参加する海上デモを行なった。

また全羅南道麗水(ヨス)でも漁船170隻あまりが参加して、海上デモが行い、「2011年 3月に福島原発事故が発生したときも、水産物の消費が大きく減少し、生計が苦しくなった。再び生計に困難を強いられる」と訴えたという。

<KBS日本語ニュース「日本の汚染処理水の海洋放出決定 韓国漁民が海上デモ」>

済州島の地元自治体は、福島原発の処理水が海洋放出されれば「200日以内に済州沿岸に到着する可能性が予測される」とし、「漁業者の損失補償のための支援特別法制定」と「監視強化のための海洋環境観測センター構築」を政府に建議する計画だという。

済州道議会は臨時会議を開き、「汚染水の海洋放出は回復不能な災難になり得、福島原発汚染水の処理は一国の利害得失という経済的論理を離れて世界的、人類的観点で決定されなければならない」として、海洋放出決定を直ちに撤回するよう求める決議を出した。

<ハンギョレ新聞4/20「済州道、福島“対応シナリオ”決定…4段階では船舶・水産物統制」> 

「全人類に対する核攻撃と同じ」だとか「魚介類の産卵場がなくなる」、あるいは「200日以内に済州島沿岸に到達する」などと軽々しく言い放つ自分たちの言葉が何を言っているのか、本当に分かっているのだろうか。そうした言い分をそのまま垂れ流す新聞やテレビは、科学的根拠も示さず、虚言をばらまいているという自覚もない。

それは、「慰安婦」や「徴用工」に関する報道とまったく同じパターンの繰り返でもある。元「慰安婦」や「徴用工」だったとし、その被害を主張する人たちの過去の実態を客観的に検証することもなく、「慰安婦」や「徴用工」という言葉の定義もあいまいなままに、彼らの言い分をただ垂れ流し続けたことが、今の国際条約違反という状況につながっている。

一方で、中央日報をはじめとする韓国メディアの多くは、海洋水産部など政府各部門の合同タスクフォース(作業部会)が昨年10月、「福島原発汚染水関連現況」という題名の報告書を作成していたことを報道している。この報告書では、「汚染水を浄化する日本の多核種除去設備(ALPS)の性能に問題がない」との判断を下し、三重水素(トリチウム)については「生体で濃縮・蓄積されにくく、水産物摂取などによる有意味な被ばくの可能性は非常に低い」とし、処理水の韓国海域拡散の可能性についても「海洋放出から数年後、国内海域に到達しても海流により移動して拡散・希釈されて有意味な影響はない」と結論している。

<中央日報4/15「日本の原発水、影響大きくない-韓国政府TF、昨年報告書出していた」> 

さらに韓国の科学分野で最高権威とされる韓国科学技術院(KAIST)原子力・量子工学科のチョン・ヨンフン教授が「処理水は実際には危険ではないため、危険性だけを強調すれば日本に対して負け試合になる」と主張したと中央日報は伝えている。

中央日報4/16「韓国教授、汚染水の危険だけを強調すれば負け試合に…放出後は共同監視を」

つまり、韓国の大手メディアは、科学的には、処理水に危険性がないことを十分に承知しているのである。それにも関わらず、極端なありもしない危険性を訴えるのは、すでに政治目的があるとしか考えられない。すなわち残り任期が1年足らずとなった文在寅政権は、最近の支持率は30%まで低下しているが、レームダック化した政権が「反日」に走り、人気取りをするというのは常套手段だ。文政権にとっては願ってもない反日を主張できる状況が訪れたということだろうが、あまりにも見え透いていて、その底意は多くの人に見抜かれている。

<日本の専門家会議の議論はすべて公開されている>

ところで、韓国外交部をはじめ、政府と議会の多くの人間は日本が福島第一原発について情報を公開せず、透明性がなく説明責任を果たしていないと非難するが、そうした人たちは、経済産業省の「廃炉・汚染水・処理水対策ポータルサイト」を一度も覗いたことがないか、見て見ぬふりしているだけだ。

処理水の海洋放出の方針を決定した4月13日の関係閣僚会議(「廃炉・汚染水・処理水対策関係閣僚等会議」)で発表された「ALPS処理水の処分に関する基本方針」でも指摘しているように、トリチウムを含む処理水の扱いについては、経済産業省の下で設置された専門家グループ「トリチウム水タスクフォース」が2013年12月から2016年5月まで15回にわたって研究会を開き検討を行なった。その後2016年11月から2020年2月までは、「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(ALPS小委員会)」が17回にわたって開催され、処理水の具体的な処理方法や風評被害などの社会的な観点も含めた、総合的な検討が専門家によっておこなわれてきた。

それらの詳しい議事録と会議資料は経済産業省のホームページですべて公開されている。

そのなかの「トリチウム水タスクフォース」第1回会議で日本原子力研究開発機構研究主席(当時)の山西敏彦氏が「トリチウムの物性」について解説している。それによると、トリチウムが出す放射線はβ(ベータ)線だけγ(ガンマ)線はない。そのβ線が浸透する距離は、空気中で5ミリ(mm)、水中では6マイクロミリ(μm)しかない。しかもそのエネルギー量(最大18keV、平均5.7keV)では紙一枚どころか、皮膚さえ透過することができない。つまり、トリチウムを体内に取り込んだとしても人体細胞に影響を与える力はほとんどない。しかも水の形で体内に取り込まれたトリチウムは10日、有機物として取り込まれても平均40日で半分が対外に排出される。つまり体内濃縮あるいは生物濃縮はない、ということになる。天然の水のなかには1リットルに1ベクレル程度、人体中には数10から100ベクレル程度存在するが、こうしたトリチウムで健康被害があったという報告はない。(人工的に三重水素を作り出す工場での死亡事故例はある)。

地球上に存在するトリチウム量でもっとも多いのは、1945年から1963年まで行なわれた核実験に由来するものだが、宇宙線が大気中の窒素や酸素に衝突して生成されるトリチウムは年間200グラム程度と言われ、過去の核実験で生成され半減期を経て残った量を含めて、地球上に存在するトリチウム量は全体で3キログラム程度とされる。そして、福島第一原発のタンク貯留水に含まれるトリチウムの累積量は2016年3月時点で2.1グラムだという。

広い太平洋にわずか2.1グラムのトリチウムを流したとして、仮にそれが「200日後に朝鮮半島周辺まで拡散した」として、それをどうやって検出し、福島由来のものだと証明するのか。検出できないもの、存在が証明できないものの危険性をいくら訴えても全く意味をなさないのである。

<月城原発トリチウムの危険性をどう説明するのか>

ところで山西敏彦氏(現在、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所核融合研究所ブランケット研究開発部, 部長)は、韓国では2007年からトリチウム回収プラントが稼働し、年間数百グラムの処理能力を持ち、キログラム単位のトリチウムを保管しているという事実を明らかにしている。福島では全量でもわずか2.1グラム、地球上全体でも3キログラムだというトリチウムが、韓国にはキログラムの単位で存在するというのだ。

何故か、韓国の月城(ウォルソン)原発1~4号機は、重水炉という方式で、このタイプの原発はカナダと韓国だけで稼働している(現在稼働中は2~4号機)。重水炉は重水素を減速材に使っていて、その過程でトリチウムが大量に発生する。重水中にトリチウムが貯まり、高い濃度になると作業環境上よくないということで、水を少しずつ抜き出してトリチウムを回収して保管するプラントが動いている。もともとはカナダが開発したプラント技術で、カナダの場合、年間2キロぐらいの回収量があり、十数キロぐらいのトリチウムを保管している。韓国については、2007年から回収プラントが稼働し、年間数百グラムの回収能力があり、2016年の時点で、1キログラム前後もたまっているという。

カナダも韓国も最終的にトリチウムは水の形ではなく水素という気体の形で濃縮しチタンベッドに吸着してためている。そのチタンベッドのトリチウム濃度は90%程度もあり、比較的放射能の高い状態で保管しているので、崩壊熱を発していると見られるという。

参考:汚染水処理対策委員会トリチウム水タスクフォース 平成25年12月25日第1回議事録>

以上は「トリチウム水タスクフォース」第1回会合での日本の専門家らの議論の内容から引用した。韓国側は、日本の情報公開は不透明だと言いながら、そうした自分たちのトリチウム汚染水に関する正確な情報を内外に公開したことはない。月城第一原発の経済性に関する監査で産業通商資源部の担当公務員が関連資料530件を夜間、忍び込んで秘かに削除し、そのなかに北朝鮮への原発提供に関する秘密ファイルも含まれていたと検察に暴かれるような隠ぺい工作を平気で行なう国である。信用することはできない。

<中央日報2021/2/6「原発ミステリーの真実、法廷に出す勇気はあるのか」

そればかりではない。2018年6月には月城原発第3号機で重水3630キログラムが漏れ出る事故があり、作業員29人が放射能に被爆した。

<中央日報2018/6/14「韓国原発で重水漏出、29人が放射能に被ばく」

また今年1月には、月城原発の地下水の排水路に溜まった水から基準値を超えるトリチウムが検出されたが、この地下水はトリチウムの排出経路とは関係がない地下水で、トリチウムの流出経路や原因も分かっていないと言われる。

<聯合ニュース2021/1/12「月城原発でトリチウム検出 国会調査検討=韓国与党

まず、自分たちの足元の問題を解決し、自らの身を潔白にしてから、ものを言うように忠告する。

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富士の高嶺から見渡せば

大学で中国語を専攻して以来、半世紀にわたって中国・香港・台湾を見続け、朝鮮半島にも関心を持ち続けてきました。これらの国との関係は過去の歴史を含め、さまざまな虚構と誤解が含まれています。富士の高嶺から、雲海の下、わが日本と周辺の国々を見渡せば、その来し方・行く末は一目瞭然。霊峰富士のごとく毅然、敢然、超然として立てば、視界も全開、隣国を含めて同時代の諸相に深く熱く切り込めるかもしれません。

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