「歴史を学び直せ」とは中国のことだ

中国外相・王毅は訪問先のオーストラリアで、「1943年のカイロ宣言と45年のポツダム宣言には、日本は占領した全ての中国の領土を返還すべきだと明確に記されているとし、この中に南沙諸島(スプラトリー諸島)も含まれている」と言ったという。合わせて「アメリカは第二次大戦時の歴史を勉強し直したほうがいい」と例の横柄な口ぶりで言い放ったらしい。ちょっと待て。第2次大戦当時、中共八路軍はシナ大陸の奥深くを逃げ回っていただけで、太平洋戦争を直接戦った当事者でもない。日本軍と実際に戦い戦場で血を流したアメリカ軍に対して、ここまで傲慢にものを言える資格があるのか。(ロイター2月8日配信「米国は南シナ海巡る歴史を勉強し直すべき=中国外相」)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170208-00000046-reut-asia

国際的な公約を勝手に読み替え、歴史を都合よく書き換えるのは、シナ人国家の常套手段で今更、驚くには値しないが、一国を代表する外相ともあろう人物が、厚顔無恥も甚だしく、すぐにばれる嘘をよくもここまで平然と言い放てるものだ。国際社会は直ちに毅然と反論し、王毅の放言を言いっぱなしのまま許してはならない。

彼らが言及したポツダム宣言には「カイロ宣言の条項は履行さるべきものとし、日本の主権は本州、北海道、九州、四国及びわれわれの決定する周辺小諸島に限定するものとする」とあり、「カイロ宣言」と呼んでいる新聞発表文の「カイロ共同声明」には「第一次世界戦争の開始以後に日本国が奪取し又は占領した太平洋におけるすべての島を日本国からはく奪すること」とあるが、中華民国に渡すとはどこにも書いてない。中華民国(Republic of China)と名前を挙げているのは「満洲、台湾及び澎湖島のような日本国が清国人Chinese」から盗取したすべての地域を中華民国に返還することにある」とあるだけだ。当然、南シナ海は清国人によって管理・所有されたこともなく、古来、シナのものだという歴史的証拠もないことはハーグの仲裁裁判所の裁定で確定している。

ロイター通信によると、王毅はさらに「1946年、当時の中国政府は米国の公然たる支援と法に則り、日本から南沙諸島を回復、主権行使を再開した」と主張したというが、「米国の公然たる支援」というのは、おそらく蒋介石の海軍が1946年12月、米海軍から譲り受けた中古の駆逐艦4隻で、戦前、日本が支配していたパラセル諸島のウッディ島(永興島)やスプラトリー諸島のイツアバ島(太平島)まで航海して、領有を宣言したとされることを指しているのだと思われる。蒋介石の海軍も毛沢東率いる人民解放軍も、外洋を航海できる船どころか、長江(揚子江)を遡るまともな船さえなく、国共内戦当時の渡河作戦は小型漁船や帆船をかき集めて実行された。米海軍から譲与されたおんぼろの艦船がなければパラレル諸島にさえいけなかった中国海軍が、当時、南シナ海全域を有効に支配し、管轄できていたはずがない。

それよりも中華民国が永興島や太平島の領有を宣言した1946年12月9日よりも前に、アメリカからの独立を宣言したフィリピンが、同じ年の7月4日にスプラトリー諸島はフィリピンの勢力範囲にあると宣言している。また、これに対抗してフランスは掃海艇をスプラトリー諸島に派遣し、同年10月5日に、イツアバ島(太平島)に石碑を建ててフランスの領有を主張している。そうした事実をすべて無視して、自分の都合のいいように黒を白と言い換えて歴史を書き換える。王毅よ、口を慎め、歴史をまじめに学び直すべきなのは、あんたのほうだ。

富士の高嶺から見渡せば

大学で中国語を専攻して以来、半世紀にわたって中国・香港・台湾を見続け、朝鮮半島にも関心を持ち続けてきました。これらの国との関係は過去の歴史を含め、さまざまな虚構と誤解が含まれています。富士の高嶺から、雲海の下、わが日本と周辺の国々を見渡せば、その来し方・行く末は一目瞭然。霊峰富士のごとく毅然、敢然、超然として立てば、視界も全開、隣国を含めて同時代の諸相に深く熱く切り込めるかもしれません。

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