日本「産地偽装?」で中国にブーメラン

中国政府は、福島第一原発事故から6年の今も、東京都を含めた関東・東北・信越の10都県を何の根拠もなく「放射能汚染地域」に一方的に指定、これらの地域からの農産物、食品の輸入を一律禁止している。このこと事態、日本人にとっては驚きの事実だが、今月15日、中国の国営TVが、まったくの誤解に基づく事実誤認で、日本の加工食品の「産地偽装」を大々的に報道したものだから、セブン&アイ・ホールディングは、北京にある200店舗のセブン・イレブンから日本の食品を撤去したり、イオンは中国で展開するスーパー70店舗から日本産食品を自主的に撤去する事態になっているという。(NHKニュース21日)

中国のCCTVが世界消費者デーの特別番組で、無印良品やカルビーの加工食品、それに新潟魚沼産コシヒカリなどを取り上げ、「汚染地域」で生産されたものであるにも関わらず、食品のパッケージに記された生産地を隠して、生産地を「日本」とだけ記した中国語の説明シールを貼るなどして「産地偽装」していたと報道した。番組では「無印良品」の商品棚に置かれている食品や飲料品の中国語の説明シールを剝がすと、「生産者」として「東京都」の住所が現われる映像などが映されている。しかし、この「生産者」の住所とは「無印良品」やカルビーの本社の住所であり、けっして原料の産地を示すものではない。それにも関わらず「放射能汚染地域」である「東京で生産されたもの」という証拠として扱われている。かりに「産地偽装」があったとしたら、中国語シールを張った中国側輸入業者の偽装工作であり、日本企業に責任はないはずだ。

福島をはじめ被災地から出荷された農水産物は、全量放射線検査を受けて出荷されている。それ以外の地域から出荷された米や肉類でも、大手食品スーパーでは、ロッドごとに自主的な放射線検査を実施し安全を確かめている。

そもそも、放射線モニタリング調査で、東京の放射線量は北京や香港、ソウルよりもはるかに低いという事実をご存知であろうか?(以下の「日本核辐射数据官方检测结果发布」を参照 http://blog.sina.com.cn/s/blog_16540690d0102wy6h.html )

それによると、2017年2月20日の時点で各地の放射線量を比較すると、東京は毎時0.031マイクロシーベルト(uSv/h)、新潟は0.049、水戸0.053、仙台0.039。一方、北京は0.071、香港は0.080~0.150、ソウルは0.117、シンガポールは0.100で、軒並み東京や仙台などより高い放射線量を示している。さらに福島第1原発から24キロの南相馬市で0.11、43キロのいわき市では0.09で、これはソウルやシンガポール、香港より低い値であり、63キロ離れた福島市でも0.12で、これも香港やソウルとほとんど変わらない。

放射線量だけを比較すれば、福島の食材はソウルや香港と同じレベルの安全性(危険性?)、東京や新潟、水戸、仙台の食材は、北京やソウル、シンガポールで食べる食品より、はるかに安全ということになる。

中国の消費者にはたいへん申し訳ないのだが、われわれ日本人は、安全で十分に信頼できる食材や食品をいつでもどこでも安定的に購入することができ、多種多様な料理を何の不安も疑いもなく、毎日、口にし、いたって健康に過ごしている。おかげで世界に冠たる美味しい「和食」を楽しみ、食を通して日本の文化と伝統に感謝する幸福な日々を過ごしている。その結果として、男女ともに世界最長の平均寿命を記録し、世界最先端の健康長寿社会を誇っている。そのことは、世界の誰もが認める揺るぎない事実でもある。

一方、中国では、すでに農地という農地は、過去に使用された農薬で高濃度に汚染され、無農薬の有機農法をやろうと思ってもはじめから無理なほど農地は荒廃している。農業に必要な水も、河川や湖はどこも深刻に汚染され、地下水といえども飲み水に適した水はほとんどないといわれる。食品の産地偽装や原料の不正なごまかしこそ、中国では日常茶飯事に行われ、信じられないような毒物汚染や食の安全に関わる事件が年中多発している。それは、中国の消費者がもっともよく知っていることで、中国の消費者自身が、国内の食材や国内メーカーの加工食品を信用していないことが、そのなによりの証拠だ。中国で日本産の食品がすべての店から撤去されても、日本の食品の品質の高さと安全性を、知っている中国人は大勢いる。彼らは必要ならどんな手段、ルートを使ってでも手に入れるだろうから、心配はいらない。現に日本のメーカーを擁護する声もネット上では溢れているという。

それにしても、何の科学的根拠もなくいまだに「放射能汚染地域」の指定を解除しないのは、日本に対する嫌がらせでしかないが、その中国は、何億・何千万もの国民の健康を害し、大衆の怨嗟のもとになっているPM2.5 の大気汚染さえ解決できず、安全な飲み水や農水産物を国民に提供するどころか、子々孫々にわたり回復不能なまでに農地や河川、海を汚染し、安全で信頼できる食材・食品を提供できる生産・流通システムさえ確立できないでいる。そんな国から、過去に遡って日本の歴史を否定され、国家の安全と領土主権を奪われるいわれはどこにもなく、われらは尊厳と誇りある高みに立ち、彼らを見下すことができる。

富士の高嶺から見渡せば

大学で中国語を専攻して以来、半世紀にわたって中国・香港・台湾を見続け、朝鮮半島にも関心を持ち続けてきました。これらの国との関係は過去の歴史を含め、さまざまな虚構と誤解が含まれています。富士の高嶺から、雲海の下、わが日本と周辺の国々を見渡せば、その来し方・行く末は一目瞭然。霊峰富士のごとく毅然、敢然、超然として立てば、視界も全開、隣国を含めて同時代の諸相に深く熱く切り込めるかもしれません。

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