中国の海軍力増強の狙いは何か①

<海兵隊と強襲揚陸艦の増強>

海外・国外への投射展開能力を高める中共軍の動きが気になる。以下は、最近、報道された中共軍の海洋進出に向けた増強ぶりの実態だ。

中国の海軍陸戦隊、いわゆる「海兵隊」は、現在の兵力2万人を5倍の10万人にまで増強し、アフリカ・ジブチやパキスタンの港に駐留させる計画だという。香港紙サウスチャイナ・モーニングポスト(SCMP)が3月13日に伝えた。海軍陸戦隊は、現在、海南島などを拠点とする2個旅団2万人の兵力をもつ。これを、今後5倍の6個旅団10万人まで増強するのだという。

As overseas ambitions expand, China plans 400 per cent increase to marine corps numbers, sources say SCMP3/13)

これとは別に、陸軍所属の水陸両用機械化歩兵師団も、兵力を現在の2~3万から6万人に増強し、各師団には300両の水陸両用歩兵戦闘車が配置されるという。NEWSWEEK日本語版4月4日号によると、兵力を増強する海軍と陸軍の着上陸侵攻部隊だが、肝心の海上輸送力や海軍と陸軍の統合指揮システムには弱点があるという。中国が現在、展開できる揚陸艦は89隻、一度に運べる兵員数は4万人と見込まれている。南シナ海や東シナ海の小島に海上から上陸作戦を行うには十分すぎる規模だが、これは本来、台湾侵攻シナリオを想定したもので、アフリカや南アジアまで世界的な展開力はないと考えられている。

しかし、そうしたなかで中国は、超大型の強襲揚陸艦を建造中だという報道もあった。「075型」と呼ばれる新しい強襲揚陸艦は全長250メートル、排水量は4万トン、最大30機の武装ヘリを積み、飛行甲板から一度に6機のヘリが発艦できるといわれる。

「075型」強襲揚陸艦がどれほどの規模をもつかの比較だが、つい最近、日本で就航した海上自衛隊のヘリ搭載型護衛艦「かが」は全長248メートル、最大排水量27000トンで、最大ヘリ14機を搭載し、同時発着5機が可能。乗員500人と長期滞在型の450人収容できるという。また米海兵隊の強襲揚陸艦「ワスプ級」は全長253メートル、排水量4万トンで、ヘリ30機とハリアー戦闘機6~8機を搭載でき、海兵隊員1894人を収容できるという。中国の強襲揚陸艦は、護衛艦「かが」より2倍の搭載能力を持ち、規模では米海兵隊のワスプ級強襲揚陸艦と並ぶ。

軍事専門家によると、中国の「075型」強襲揚陸艦が完成すれば、南シナ海や東シナ海で敵の軍艦や潜水艦、地上軍を攻撃するさまざまな形態のヘリを発着艦させることができ、中国は米国に次いで世界第2位の規模の海軍力を保有することになるという。

(「中国海軍、軽空母クラスの強襲揚陸艦の建造を開始」朝鮮日報日本語版 3/31)

(続く)

富士の高嶺から見渡せば

大学で中国語を専攻して以来、半世紀にわたって中国・香港・台湾を見続け、朝鮮半島にも関心を持ち続けてきました。これらの国との関係は過去の歴史を含め、さまざまな虚構と誤解が含まれています。富士の高嶺から、雲海の下、わが日本と周辺の国々を見渡せば、その来し方・行く末は一目瞭然。霊峰富士のごとく毅然、敢然、超然として立てば、視界も全開、隣国を含めて同時代の諸相に深く熱く切り込めるかもしれません。

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