北京五輪の裏で暴露された性奴隷の真実、そして韓国は

北京冬期オリンピックが開催され、選手たちの活躍に世界各国のメディアの注目が集まるなかで、同時に中国発の驚愕ニュースとして伝えられたのが、中国江蘇省徐州市豊県の村の粗末の小屋のなかで、寒さに震える女性が首に巻かれた鎖と南京錠でつながれ、逃げられないように拘束された状態で見つかったことだ。

SNSでその映像が公開されると、「鉄鎖女」としてネット民の間で話題が沸騰し、その後、この女性は遠く離れた中国南部、雲南省福貢県出身で、誘拐か人身売買の被害にあって連れてこられたといい、夫とされる男との間に8人もの子どもがいたこともわかった。この間、誘拐・人身売買の被害者という疑いが強まったが、地元の県や市がそれを否定するとSNS上では次々と隠蔽ともみ消し工作が暴かれ、ネット民の怒りをさらに買うことになった。

SNS上では早くも「不要我了、徐州八孩媽媽之歌」(私は要らない、徐州8人の子の母の歌)という歌が動画とともにアップされ話題となっている。  

西日本新聞2/13「首に鎖つながれた母親」中国で波紋 SNS拡散、当局は報道規制し収拾急ぐ」>  この話は、地方の片田舎の特異な事例ということではなく、実は、中国国内で発生する失踪人口は年間800万人にも達し、そのなかには誘拐・人身売買の被害に会って農村に売られ、それこそ性奴隷と同じ境遇に置かれる女性も多いといわれる。奴隷状態の女性が8人もの子供を出産したとすれば、周囲にばれないはずがなく、農村ではその種の女性がいるという実態は普通のこととしてよく知られたことだとも言われる。 

石平の中国週刊ニュース解説2月19日特集号

もとと今回のオリンピックは、新疆ウイグルでのウイグル人の強制収容所での迫害や女性の強制避妊など中国が進める民族絶滅政策=ジェノサイドの最中に行われたオリンピックとして人類史に特筆されるべきものだが、華やかなスポーツの祭典が開かれている国の裏側で、到底、21世紀とは思えない深刻な女性の人権侵害、まさに性奴隷としての迫害が公然と行われ、救いようのない貧困に打ちひしがれている人々が大勢いるというのが実態なのである。 


ところで、「慰安婦」を性奴隷だとして日本を糾弾するのに忙しい韓国だが、77年以上も前の、真実も証明できない「慰安婦」の欺瞞に執着する割には、現在進行形で進む隣国の女性の人権侵害、現実の性奴隷の実態にはいっこうに関心を示さない。 

韓国には、女性政策および女性権益の増進を目的にした「女性家族部」という省庁があり、「慰安婦は性奴隷だ」という独自の主張を展開し、圧倒的な影響力を発揮する「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」という圧力団体がある。しかしこうした組織が、中国でいま現在、日常的に行われている女性の人権迫害に抗議したという話は聞いたことがない。 

また、人口10万人に当たりの性被害の犯罪件数(強姦と強制わいせつ)を比較すると、2016年に韓国が43544件に対して日本は5617件で、韓国は日本の7.75倍、しかも日本は減少傾向にあるのに、韓国は増加傾向にある。 

事実を整える「2020年版:日本と韓国の性犯罪率、強姦強制わいせつの統計」>「

韓国の強姦の認知件数の率は日本の13倍」「韓国の強制わいせつの認知件数の率は日本の6.4倍」「韓国の性犯罪全体の認知件数の率は日本の7.4倍」「韓国の性犯罪率はOECD36ヶ国中13番目に多い」という韓国の今ある現実について、女性家族部や正義記憶連帯が問題だと認識し、何か発言したという話も聞いたことがない。 

事実を整える「2018年版日本と韓国の性犯罪率:強姦強制わいせつの統計」> 

実は、この「女性家族部」の存続が、大統領選挙の主要な争点の一つになっている。

最大野党「国民に力」の尹錫悦候補が「女性家族部」廃止を公約にし、男だけが徴兵制で苦労しているのに対し、女性だけが優遇されているとして、反フェミニズム的傾向が強い若い男性の票を取り込もうとしているのに対し、与党「共に民主党」は、それとは逆に女性の票を取り込もうと「女性家族部」の存続を主張する。今回の大統領選挙は、全羅道と慶尚道という従来の地域対立に加え、世代間の対立、ジェンダーの対立の様相も見せている。韓国という国は南北や保革の分断だけでなく、社会のあらゆる局面で深い断絶を抱えた多重分断国家なのである。 

ところで女性家族部の評判がなぜ悪いかというと、女性の利益団体である各種の女性団体の活動資金を支える一方、その資金の使い方に関する透明性が欠如し、女性団体出身の関係者が歴代長官を務めるなど女性団体との不明瞭な癒着が甚だしいからでもある。そうした女性団体の代表し、中心となって活動してきたのが、慰安婦支援を標榜した旧「挺身隊問題対策協議会」(挺対協)であり、「正義記憶連帯」だった。 

政府の補助金や一般からの寄付によって、慰安婦活動そのものがまるで巨大な産業となり、その利権を一手に握る独占企業として利益を独占することに成功したのが挺対協や正義記憶連帯だった。彼らにとって、生存する慰安婦の生活や福祉問題などは本当はどうでもよく、自国の女性の性被害や、ましてや他国の女性の人権侵害など、ほとんど関心の外なのである。 

彼らが今、もっとも気を砕いているのは、旧日本大使館前の少女像の前で毎週水曜日に行ってきた「水曜デモ」が、少女像の撤去を求める保守系の市民団体によって先に場所が占拠され、少女像の前での水曜集会ができず、そこから数十メートル離れたところでしか開催できないこと。それに挺対協と正義記憶連帯の前の理事長で、現在国会議員の尹美香(ユン・ミヒャン)氏が、詐欺や業務上横領などの6つの罪で在宅起訴されているほか、不動産の不正取引の疑惑も浮上し、与党「共に民主党」から除名されただけでなく、国会倫理特別委員会で懲戒案が審議され、国会議員の地位もはく奪される危機に陥っていることだ。 

水曜集会の継続について、国家人権委員会の宗斗煥(ソン・ドゥファン)委員長は、「30年間も続いてきた世界最長の集会であり、世界的にも前例を見つけるのが難しい運動で、妨害されずに進行できるよう警察が積極的に保護を行う必要がある」とし、緊急の救済措置を取るよう勧告した。

これについて、少女像の撤去を求めてきた保守系市民団体「慰安婦法廃止国民行動」の金炳憲(キム・ビョンホン)代表は、「一方の団体の集会を保護するために、憲法で保障されている反対団体の集会の自由を制限し、警察に不当な圧力を行使した」と主張し、国家人権委員会の宗斗煥委員長を職権乱用権利行使妨害、集会および示威に関する法律違反の容疑で警察に告発すると明らかにした。 

聯合ニュース2/9「尹美香氏の国会議員除名推進中止を 慰安婦団体が声明」> 

「世界一長く続いている集会だから保護しなければいけない」という理屈は、何のための水曜集会なのかという目的を履き違いし、集会を続けること自体を目的化している。いま生存している「慰安婦」は13人で、本来はその人たちのための集会のはずで、一日も早く問題を解決し、彼女らを救済すれば、毎週、集会を開く必要などなくなるはずなのだ。しかし彼らにとっては、集会を永遠に継続すること自体が目的で、「慰安婦」問題を解決しようなどという意思は全くない。「慰安婦」問題が解決してしまったら、日本を悪者として糾弾しつづける理由がなくなるからだ。「慰安婦」の生存者が一人もいなくなる日は早晩訪れるが、そのとき彼らがどういう態度を取るのか、注目される。 

一方、国会議員の地位を失うかもしれない尹美香氏の件だが、正義記憶連帯の現在の理事長李娜栄(イ・ナヨン)氏は1530回目となった2月9日の水曜集会で声明を発表し、「(尹美香の)除名推進は日本軍性奴隷制の糾明に向けた運動の正当性を損ない、結局、日本帝国主義、強制動員、性奴隷制などを消そうとする不純な意図とつながっている」と指摘、議員の身分を奪う「除名」手続き推進を中止するよう求めたという。要するに正義記憶連帯の存在理由は、「慰安婦」のためではなく、自分たちの組織と利害を守ることにしかない、ことは明らかだ。 

同じことは「女性家族部」にも言えて、年間で1兆2000億ウォン以上という予算を使って、女性団体600あまりに補助金や交付金を用意するとともに、挺対協など女性団体出身の関係者が、回転ドアのように次から次へと、女性家族部長官や青瓦台秘書官あるいは国会議員などのポストに収まるようにルートを用意することにあった。つまり、女性問題の解決というより、女性団体で働く人々の資金と出世ルートやポストにしか関心はなく、男性にしてみれば『自分が収めている税金が女性のためだけに使われ、男性の権利を主張できる場がないのはどうしてなのか』と考えるのも無理はない。

「水曜集会が1531回目を数えた2月16日には、同じ場所で「慰安婦詐欺清算連帯」と称する市民団体の連合体が「韓日友好祈願市民行事~嘘と憎悪から信頼と友情へ~」と題する集会を開き、日本語、英語を含めて声明が読み上げられた。その模様は「なでしこアクション Japanese Women for Justice and Peace」のサイトで動画でも紹介されている。 


「慰安婦詐欺清算連帯」には、お母さん部隊、国民啓蒙運動本部、悪い教育に憤る父母聯合、メディアウォッチ、反日銅像真実究明共対委、慰安婦法廃止国民行動、自由青年聯盟、韓国近現代史研究会、韓米同盟強化国民運動本部が参加しているという。 

そして、慰安婦詐欺清算連帯の声明文「慰安婦問題に対する我々の立場」では、以下のように呼びかけられている。 

慰安婦問題は、30年間、正義連と女性家族部が築いてきた巨大な「偽りの砂城」に過ぎません。 「水曜デモは偽りの宣伝·扇動の現場であり、少女の像は嘘と憎悪の象徴物です。 これにより、国内の反日感情と対日敵愾心はますます高まり、日本は全世界的に戦争犯罪加害者の烙印を押され、あらゆる不利益を被っている。30年間の水曜デモは、もう幕を下ろさなければなりません。(中略) 我々は30年間の葛藤を終息させ、信頼と友情に基づいた新しい日韓関係を願う切実な気持ちを込めて、この場を設けました。今我々は、成長する世代に偽りの歴史を残さないため、また偽りで破綻した韓日関係の回復のために、ひたすら真実だけを伝えます。国内外の慰安婦関連団体や知識人、そして社会指導層の人々は、これ以上慰安婦問題を歪曲しないでください。 嘘はしばらく隠すことはできても、永遠に隠すことはできません。> 

これまで「慰安婦」問題に関する発言は、挺対協、正義記憶連帯がすべて代表し独占してきて、外部の人間は口を挟むことさえできなかったが、実はこれだけの人々、団体がそれに反旗を翻し、虚偽を排除し真実を発しようとしているのである。世界は、もう騙されることなく真実に目覚めるべきだ。 













富士の高嶺から見渡せば

大学で中国語を専攻して以来、半世紀にわたって中国・香港・台湾を見続け、朝鮮半島にも関心を持ち続けてきました。これらの国との関係は過去の歴史を含め、さまざまな虚構と誤解が含まれています。富士の高嶺から、雲海の下、わが日本と周辺の国々を見渡せば、その来し方・行く末は一目瞭然。霊峰富士のごとく毅然、敢然、超然として立てば、視界も全開、隣国を含めて同時代の諸相に深く熱く切り込めるかもしれません。

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