無期懲役判決後の尹錫悦氏と張東赫代表の国民向けメッセージ

戒厳令を宣布して内乱罪に問われた尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領に対し、1審のソウル中央地裁は19日、無期懲役を言い渡した。さらに当時、国防部長官だった金龍顕(キム・ヨンヒョン)被告には懲役30年を宣告した。

判決では、いわゆる「12・3非常戒厳」について、国会の機能を相当期間まひさせる目的があったと認定し、憲法秩序を紊乱したと判断した。とくに、この事件の核心は軍を国会に送った点にあると強調し、軍を投入して暴動を起こした事実も認められるとした。

結審の公判で死刑を求刑した特別検察官側は、過去に軍事クーデタで有罪判決を受けた全斗煥(チョン・ドゥファン)、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領よりも、さらに厳しい責任を問うべきだと主張していた。全斗煥による粛軍クーデタや光州事件とは違って、今回は死者も負傷者も誰一人出ていないにもかかわらず、である。

しかし、一審で無期懲役の判決が下されたことについて、与党「共に民主党」の鄭清来(チョン・チョンレ)代表は「当然、死刑が宣告されるものと思っていた」と述べ、「死刑ではなく無期懲役としたことは司法の正義を揺るがした」と批判した。また、高齢で前科がない点などが量刑で考慮されたことについても「納得し難い」と指摘した。

韓国では死刑判決が確定しても97年以降、執行されたことはなく、また有罪判決を受け収監された歴代大統領も全員が特赦で刑期を終え自由を回復している。しかし今回、共に民主党は、大統領の恩赦権を制限し、内乱や外患誘致罪を恩赦の対象から除外する、いわゆる「恩赦禁止法」を推進する方針だ。もはや個人を標的にした「復讐劇」、徹底的に報復し野党勢力を根こそぎ根絶させることを狙った「政治裁判」であることを露呈している。

以下に、将来に残す歴史文書として、一審判決後の「尹錫悦前大統領の国民向けメッセージ」と野党「国民の力」の張東赫(チャン・ドンヒョク)代表の記者会見での発言の全文を和訳し掲載する。

なお、翻訳に当たっては以下のYoutube「隣のおじさん」を参考にさせていただいた。

【LIVE】韓国保守、風雲――誰と絶縁すべきなのか?


<一審判決後の尹錫悦前大統領の国民向けメッセージ>

「私たちの戦いは終わっていない。自由民主主義の旗の下、正義が回復することを祈る」

尊敬する国民の皆様、12月3日に非常戒厳を宣布した私の判断と決定は、ただひたすら国家と国民のためのものでした。その真摯さと目的については、今も何ら変わっておりません。

しかし、国家を救うための決断を「内乱」に仕立て上げ、政治的攻勢を超えて反対派の粛正と排除の口実にしようとする勢力は、今後さらに勢いを増していくでしょう。

国を思って下した決断ではありましたが、私の力不足により、結果として、国民の皆様に多くの挫折と苦難を背負わせてしまったことについて、心より深くお詫び申し上げ ます。

司法府は、虚偽と扇動による政治権力を完全に排斥することはできませんでした。私が長期執権のために環境を整えようとし、それが思い通りにならず非常戒厳を宣布したという特別検察の小説と妄想を受け入れなかった点だけはせめてもの救いです。

しかし、私の真意を認めながら、単に軍が国会に向かったという理由だけで「内乱」とする論理には到底納得できません。司法の独立が担保されず、法と良心に基づく判決を期待することが困難な状況の中で、控訴による法的争いに果たしてどれほどの意味があるのか、深い懐疑を抱かざるを得ません。

大韓民国に自由民主主義がしっかりと根を下ろし、法治主義が正しく立ち直るその日、私の判断と決断に対する再評価が行われることを改めて期待したいと思います。

もはや私に対する司法府の予定された結論や政治権力の迫害を意に介することはありません。ただ多くの軍人や警察官、公務員たちが捜査や裁判に巻き込まれ、苦しみ、その家族までが痛みに沈んでいる現実があまりにも胸を締めつけます。

決断の過程に対する責任は、全て私一人が負うべきものであります。どうか彼らにこれ以上の過酷な試練と迫害を与えることはやめてください。政治的報復は私1人で十分です。

捜査特別検察、さらには第2次特別検察まで動員して、一体どれほど多くの人々を粛正し、国家安全保障を根こそぎ揺るがそうとしているのですか? これ以上、民主主義を損なうことなく国民の暮らしに目を向けてください。

私、尹錫悦は広場の裁きの中で、ひと時、息を整え、全ての責任を背負います。しかし、偉大なる国民の皆様が自由民主主義の旗印の下、再び正義を打ち立ててくださると信じております。

私たちの戦いはまだ終わっておりません。団結し立ち上がらなければなりません。敗北ではなく希望ある前進によって大韓民国を再び立て直すことを祈ります。

2026年2月20日 尹錫悦


<「国民の力」張東赫(チャン・ドンヒョク)代表の記者会見(2月20日)での発言>

「行政府を麻痺させ国家機能を無力化した民主党の行為は内乱そのものだ」

尊敬する国民の皆さん、愛する党員同志の皆さん、昨日「12・3戒厳」に関する一審判決が下されました。尹錫悦前大統領に無期懲役が言い渡されました。誠に残念であり、痛恨の極みです。

国民の力は一貫して、戒厳が直ちに内乱に当たるものではないとの立場を明確に示してきました。内乱罪に関する公捜処の捜査が違法である点も一貫して指摘してきました。

これは我が党だけの主張ではなく、多くの憲法学者や法律専門家も同様に主張しています。

しかし、一審判決はこれらの主張を覆すに足る十分な根拠や説明を示すことができませんでした。確信を欠いた判決からは良心の震えが感じ取られるものです。

私は判決文の随所に見られる論理的な欠陥・ほころびこそが、池貴然(チ・ギヨン)判事が残した最後の良心の痕跡だと信じています。まだ一審判決にすぎません。推定無罪の原則は誰に対しても例外なく適用されるべきです。

現在は、司法の審判も受けています。そして国民の力は、前回の大統領選挙で国民から政治的な審判を受けました。尹錫悦前大統領は憲法裁判所の審判であれ、裁判所の裁判であれ、その全てを受け入れています。

これに対し、李在明大統領は権力を盾に国民多数の意思を無視し、憲法第84条の不訴追特権を根拠に掲げて、12件の容疑に関する5つの裁判をすべて停止させています。

あまりにも対照的な姿です。今回の判決で裁判所は、憲法第84条にいう訴追とは(在任中の)公訴提起を意味するものだと明確に述べました。

(就任前に起訴された)李在明大統領の裁判を中止する法的根拠は消滅したのです。裁判所は李在明大統領に対する裁判を直ちに再開すべきです。

共に民主党は李在明大統領を守るとして、さまざまな防弾立法を押し進めるだけでなく、現職議員86人が大統領の控訴取り消しを目的とする会派まで結成しました。法の裁きを回避する李在明と民主党の行動こそ真に恥ずべきものです。国民に謝罪すべきは、まさにこの点です。

二審まで有罪判決を受けたキム・ヨンの出版記念会に、現職・元職の民主党議員や権力者たちが押し寄せる姿もまた実に恥ずかしく、謝罪に値する行為です。

裁判所は内乱罪の有罪を宣告しながら、大統領には国会の主要官僚の弾劾や予算削減に対抗するための適切な手段がなかったことを認めました。

憲法の衣をまとい、行政府を麻痺させた民主党の行為は、権力をもって国家機関の機能を無力化したという点で、内乱と本質的に大きな違いはありません。

憲法が設計した権力の均衡を破壊し、立法独裁へと置き換えようとしたのです。

いま民主党は行政府と立法府をすべて掌握し、さらに司法府まで支配しようとしています。

立法独裁による無言の内乱を続けてきた民主党の責任を国民の皆さまが厳しく審判すべきです。

「結果に責任を持つ政治、危機の時に責任を分担する、それこそが保守の品格」

党員同志の皆さま、言葉ではなく行動で、結果に責任を持つ政治、それこそが保守です。

危機の時に責任を分かち合うこと、それが保守の品格です。

無道な特検が無理に起訴した事件が、次々と無罪判決を受けているにもかかわらず、これについて何も語れずにいること、これを保守の品格とは言えないでしょう。

責任を回避する相手を前に、責任から逃げない私たちが、自ら萎縮する理由はありません。

国民が今、国民の力に求めているのは、有能さです。強い国民の力、変化と革新を志す国民の力です。

党員の皆さまが国民の力に求めているのは、堂々とした姿勢です。

真の「足し算の政治(덧센정치)」とは、互いに異なる考えを集めて一つの声を上げることです。

それぞれの立場は違っても、同じ方向に向かって声を合わせ、掛け合わせていくことです。

「謝罪と絶縁を繰り返し求めることは分断の種をまく行為」

私たちはすでに何度も謝罪と絶縁に関する立場を表明してきました。それに伴う変化と改革の努力も続けています。それにもかかわらず、謝罪と絶縁を繰り返し求めることは、分断の種をまく行為です。そして分断こそが最悪の無能です。

自らの利益にために、大統領の名前を利用する勢力は、大統領との絶縁を掲げて党を分断しようとする勢力であり、断固として絶縁すべき相手は、むしろ彼らです。

しかし実際に今、国民の力が見失っているのは私たち自身の役割です。

憲法秩序の破壊、法治の破壊をどう食い止めるのか?

李在明政権の「新独裁」の暴風から、大韓民国の自由民主主義をどう守り抜くのか?

国民の大切な一票一票を守るために、選挙システムをどう変えるべきか? 国民は今、我が党の役割を問うています。

声がたとえ少し荒く、一つにまとまっていないとしても、私たちと異なる主張をする人々の声を、無条件に無視してよいものではありません。丁寧に見ていけば、私たちが見落としている部分を見つけることができるかもしれません。

相手は反米・親中勢力と手を組み、金於俊(キム・オジュン、左派の時事評論家)のフェイクニュースまでも自分の味方につけ、さらには過激な主思派まで引き込み、力を蓄えてきました。たとえ私たちと少し違っていても、多様な声とエネルギーを良い器に受け止めることこそ、国民の力が果たすべき役割です。

「足し算の政治は国民の声に耳を傾け多くの声を集めること」

それが真の「足し算の政治」、裾野の拡大です。自由と法治、責任と近郊という価値を守るために、堂々と有能さを取り戻しましょう。

自由大韓民国を守るために、制度の外で戦っている多くの方々がいます。

共に戦っている愛国市民の皆さんに、心からお願い申し上げます。 本気で大韓民国を守ろうとするなら、国民の力の手足を掴んで、互いに引っ張り合うのではなく、国民の力の旗の下に集い、力を合わせてください。一つにまとまってこそ、全力で、正しく戦うことはできます。

これからは、より戦略的に戦わなければなりません。

各自の言葉、各自のスローガンではなく、勝利の言葉、勝利のスローガンへと変えるべきです。すべての答えは、選挙の勝利にあります。選挙で勝たなければ、私たちが守りたいものを守ることができません。

選挙に負ければ、私たちにできることは何もありません。

最悪の状況ではありますが、最善を尽くします。共に、堂々と戦いましょう。そして賢く戦いましょう。ありがとうござました。

富士の高嶺から見渡せば

大学で中国語を専攻して以来、半世紀にわたって中国・香港・台湾を見続け、朝鮮半島にも関心を持ち続けてきました。これらの国との関係は過去の歴史を含め、さまざまな虚構と誤解が含まれています。富士の高嶺から、雲海の下、わが日本と周辺の国々を見渡せば、その来し方・行く末は一目瞭然。霊峰富士のごとく毅然、敢然、超然として立てば、視界も全開、隣国を含めて同時代の諸相に深く熱く切り込めるかもしれません。

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