「旭日旗」否定の固定化に繋がる「鬼滅の刃」韓国公開

コロナ禍のなかでも、観客動員数の記録を破るなど大人気のアニメ、劇場版『鬼滅の刃 無限列車編』が、3か月遅れで1月26日から韓国でも上映が始まった。韓国でも、コミック本の翻訳はよく売れていて「鬼滅ファン」は多く、しかも日本や台湾・香港での先行上映で圧倒的な人気を博している評判は聞いていたので、韓国でもこのアニメがいつ公開されるか、ファンの関心は高かった。

そうしたなかで日韓のファンの間で話題となったのが、主人公の竈門炭治郎の耳飾りが「旭日旗」と同じデザインであることだった。韓国での公開が遅れているのは、この耳飾りのデザインが韓国の「映倫審査」で引っかかっているからだという噂は、ファンの間やメディアでも広がっていた。

結局、韓国で公開された「「鬼滅の刃」では、炭治郎の耳飾りは「旭日」を思わせるデザインではなく、丸い赤い太陽に変えられていた。大きな違いはないようにも思えるかも知れないが、これに要する映像カットの変更は、膨大な手間がかかっていると思われる。

なぜ、そこまでする必要があったのか、台湾で公開された台湾版では、炭治郎の耳飾りは旭日のデザインのままだそうだが、中国大陸向けのバージョンでは、韓国版と同じ太陽のデザインに変えられているという。要するに、中国人や韓国人など、「旭日旗」が問題となるようなマーケットでは、議論を避けるために、映画の重要なアイテムさえ簡単に変更したことになる。つまり、この映画を売り、金儲けのためなら、ストーリーのコンセプトにつながるアイテムさえ、投げ捨てることを厭わなかったことになる。しかし、それによってもたらされる結果は、映画制作者や営業販売担当者の商業主義のなせる技、と言うだけで済むのだろうか?

別段、鬼滅ファンでもなく、今回の映画ブームに誘われて、初めて劇場で鑑賞しただけの身では、大げさに口にするのはおこがましいが、炭治郎の耳飾りは、「花札イヤリング」と呼ばれ、花札カードの絵柄をモチーフにしたものだという。私が見たのは、炭治郎の耳飾りに関するネット上のやりとりだが、ニューヨーク在住の韓国系米国人のイラストレーターが、炭治郎の耳飾りは「韓国とフィリピンを日本を植民地化した祭に使用した“Rising Sun Flag(旭日旗)”をモチーフにしている」「ナチスや帝国主義、文化虐殺と関連性をもつこの旗を君たちは本当に望むのか?」とツィッターに書き込むと、米国やインドネシアなど世界各国の鬼滅ファンから、「耳飾りは花札がモチーフであり旭日旗とは関係がない」、「いやあれは「月」や「花」をデザインしたものだ」など、多数の反論が寄せられるなど、激しい論争が続き大炎上したという。Stay mad forever worst Korea (そのまま永遠に怒り続ければいい、最悪なる朝鮮よ)ーとは、韓国人に対する海外の鬼滅ファンの投げた言葉だ。

KAIKORE海外の反応「韓国系米国人、アニメで旭日旗が使用されていると糾弾するも赤っ恥(海外の反応)」

KAIKORE海外の反応「韓国系米国人「日本の『旭日旗に見えるもの』はこの世に存在してはならない」(海外の反応)」>


そもそも「鬼滅の刃」の登場人物に、かりに韓国人がいうように「旭日旗」の文様を取り入れることで、何を表現するつもりだったというのか?旧日本軍の功績を宣揚し、日本のアジア進出を賞賛する意図でもあったというのか?

しかし、今回、韓国語版や中国語版で、炭治郎の耳飾りをオリジナル・デザインから、太陽の模様に変えたことで、「旭日旗はナチスの旗と同じ戦犯旗」であり、「旭日旗を想起させる日が昇る旭日の文様は使ってはならない」という彼らの主張を容認し、彼らの主張が正しいことを世界に発信する結果となった。


アニメ「鬼滅の刃」だけでなく、”彼らにとって”旭日旗を少しでも連想させるデザインがあれば、何にでもかみつく韓国人だが、最近はイギリスで騒ぎを起こし、物議を醸している。

その一つは、イングランド・プロサッカーリーグのリバプールが日本公式ツイッターのアカウントに旭日旗のデザインを掲載した。ユルゲン・クロップ監督が地球とクラブW杯のトロフィーを手にしているイラストのバックに、何か放射状に広がる線が描かれているのだが、しかし、このどこが旭日旗なのか、理解できない。ぱっと見た感じでは扇子のようにしか見えず、これを見て旭日旗を連想するというのは相当、彼らの強迫観念は病気と呼ばれるほどに深刻か、単に嫌がらせかこじつけの材料を探しているに過ぎないと思われる。

もう一つ、イギリスの韓国系コミュニティが沸騰し、ロンドン市長やBBCなど大手メディアを巻き込んで大騒ぎしているというのが、小さなテイクアウト専門の食堂チェーンのロゴだという。そのロゴには、頭に旭日の模様の鉢巻を巻いた人物の絵があり、「sugoi(すごい)」

という日本語がデザインされている。

この食堂チェーンは、SugoiJpn(スゴイジャパン)という名前で、日本の海苔とメキシコのタコスを融合した「NORITACO(ノリタコ)というフュージョン料理を出す専門店で、ベネズエラ出身の夫婦によって2018年にオープンし、ロンドン市内に数店の店をもつという。そのホームページを見ると、旭日の鉢巻姿の人物のロゴは、この店のコンセプトを示す重要なロゴであることがわかる。しかし、ただそれだけのことで、これが日本の軍国主義とどういう関係があるというのか。しかし、韓国人にとっては、まるで自分たちの存在が否定されたとでも言わんばかりの怒りようなのである。それは以下の新聞記事でも確認できる。

朝鮮日報1月28日「旭日旗使用のロンドン日本食店に在英韓国人ら憤怒…企業代表は「知らんぷり」

中央日報1月28日「旭日旗を使ったロンドン和食店「軍国主義と関係ない」…論議も無視」>


ところが、この店が立派なことは、韓国人がいくら抗議しても、頑として抗議は受け付けないとしていることだ。逆にホームページのFAQ(よくある質問)では、わざわざ「日本の旭日旗だって?」と題して次のような反論文を載せている。

JAPAN'S RISING SUN FLAG?

Commercially the Rising Sun Flag is used on many products, designs, clothing, posters, beer cans (Asahi Breweries), newspapers (Asahi Shimbun), bands, manga, comics. Among fishermen, represents their hope for a good catch of fish, means prosperity and hope for many others.

It was originally used in Japan during the Edo period (1603–1868 CE). Today it is used as a decorative flag on vessels as well as for festivals and events. The Rising Sun Flag is used at sporting events by the supporters of Japanese teams and individual athletes as well as by non-Japanese.

It is completely wrong to state that embracing the rising sun flag means taking pride in Japan’s military history. The design of the flag has been widely used in numerous scenes in the daily life of Japan for a long time, including celebrating childbirth and seasonal festivities. It is not an expression of political statement, nor a symbol of militarism. Many of objections against the rising sun flag are driven by political motives.

Want to read more about it? The Guardian

https://www.sugoijpn.com/pages/faq

(以下拙訳)旭日旗(Rising Sun Flag)は、意匠、服飾、看板、アサヒビール、朝日新聞、バンド、漫画、コミックなど多くの製品に使われている。漁業従事者の間では、大漁への願いを象徴し、多くの人々にとって繁栄や希望を表現するものとなった。もともとは江戸時代(1603~1868年)の日本ですでに使われ、今日では船を飾る大漁旗として使われるほか、お祭りや一般行事でも使われている。旭日旗はスポーツイベントで日本チームや日本人選手を応援するサポーターによって使われているほか、日本人以外にも使われている。旭日旗を大切にするのは日本軍の歴史に誇りをもつことを意味すると解釈するのはまったく間違いです。旭日のデザインは、誕生祝いや季節の祭りなどで、日本人の間では日常生活のなかで長い間使われてきたものです。政治的な表明や軍国主義とは全く関係ありません。旭日旗に対する多くの抗議は、政治的な動機に基づくものです。」と解説し、詳しくは「ガーディアン」の次の記事を読むようにリンクを張っている。その記事とは外務省の大鷹正人報道官が2019年11月12日付けのガーディアン紙に寄せた「旭日旗は日本軍国主義にシンボルではない」と題した寄稿文だった。


要するに、英国の小さなレストランチェーンのほうが、はるかに気概にあふれ、日本の立場、日本の精神文化を正確に広報してくれているということなのだ。

こういう話を聞いて、「鬼滅の刃」の映画関係者は、恥ずかしいとは思わないのだろうか。

何度でも言うが、韓国人の不合理で無理解で、一方的、感情的な主張に従って旭日の文様を見えないように隠したり、別のものに変更したりするということは、日本古来の伝統と日本人の精神を否定し、彼らの言い分に従って世界に虚偽の歴史を残し、それを永遠に固定化させることに繋がるのである。

富士の高嶺から見渡せば

大学で中国語を専攻して以来、半世紀にわたって中国・香港・台湾を見続け、朝鮮半島にも関心を持ち続けてきました。これらの国との関係は過去の歴史を含め、さまざまな虚構と誤解が含まれています。富士の高嶺から、雲海の下、わが日本と周辺の国々を見渡せば、その来し方・行く末は一目瞭然。霊峰富士のごとく毅然、敢然、超然として立てば、視界も全開、隣国を含めて同時代の諸相に深く熱く切り込めるかもしれません。

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