韓国のクワッドとCPTPP加盟は断固阻止せよ

韓国は米中対立のなかで難しいバランス外交を強いられているとはいえ、文在寅政権の外交音痴、アマチュア外交の失敗によって、韓国外交への信頼度は地に落ちている。たとえば中国が軍事的な緊張を高めている台湾海峡問題について、あるいは台湾のWHO加盟問題について、韓国はどういう態度をとるのか?新疆ウイグルでのウイグル人に対する人権迫害問題で制裁に踏み切ることができるのか、あるいは5Gの通信設備に中国ファーウェイ社製の製品を使うことを拒否することができるのか、といった課題でも、韓国はおそらく中国の反発を配慮して西側とは同じ歩調は取れないことは明確だ。

そうしたなかで、英国ロンドンで開かれたG7外相会合にゲスト国として招かれたこともあって、韓国の外交的立ち位置がますます注目されるようになり、その裏返しとして韓国という国の異質さも目立つようなってきた。今回のG7外相会合の主要な議題の一つは、会議後の共同声明をみても明らかなように、中国問題だったが、韓国が入った会合、たとえば日米韓3か国外相会談などでは、あからさまに中国問題は議論から排除されたという。

つまり、韓国の対中国問題での立ち位置は分かっていて、議論しても意見が一致することはないと最初から見限られているためだ。こうした事態を「コリア・パッシング」だと自嘲し、「このままでは韓国が米国と安全保障政策の哲学を共有できない国として認識されないか心配だ」という声も出ているという。

朝鮮日報5/7「米国、対中けん制戦線から事実上「コリア・パッシング」>

こうした韓国を異質だとみる目があるなかで、G7外相会議に参加した鄭義溶外相は、福島第一原発処理水の海洋放出問題に言及した。鄭外相は1年3か月ぶりの日韓外相会議の場でも、この問題を取り上げ、日本を非難した。しかし、この福島第一原発の処理水問題に関して韓国外相が言及したというニュース記事が西側のメディアで伝えられた形跡がないだけでなく、韓国メディアにおいてもその扱いはほんの少しで、西側諸国がどういう反応を示したかなどのフォローアップ記事が一行もないのである。ということは、各国から何の賛同も得られず、唯一、日本の茂木外相からは、あること無いことを他国に「告げ口」する韓国の外交姿勢について苦言を呈された程度で終わったのである。

韓国を含め各国の原発からは大量のトリチウムが現在も放出され続けており、世界の海でトリチウムによる環境被害や漁業被害など一件も報告されていないのだから、科学的に決着のついている問題をわざわざ西側先進国が集まる国際会議の場で、しかも、ただ単にゲストと招待されただけの分際で発言すること自体が恥ずかしいことだということが、おそらく分かっていないのであろう。

ところで、こうしたG7外相会合や文在寅大統領も招待されているG7首脳会議、さらには5月下旬の米韓首脳会議を前にして、韓国はその外交的な地位を何とか挽回ししたいと考え、日米豪印のアジア太平洋4か国による中国を牽制する国際的な枠組み「クワッド」や、環太平洋パートナーシップ協定CPTPPへの加盟を積極的に検討するよう求める声が、韓国メディアでも目立つようなってきている。

たとえば、元外交部長官でソウル大学の尹永寛名誉教授は中央日報に発表したコラムで、韓国がクアッドに参加しないとしたら、新型コロナワクチンの国際的供給問題や気候変動、サイバー、宇宙、反テロ活動などでの国際協力、それに半導体など核心技術分野での国際協調や供給網にも参加できず、韓国は国際的影響力を行使できなくなると警告し、北朝鮮政策においてもクワッドメンバーの米国と日本が韓国抜きで政策を主導し、韓国は議論から外される恐れがあるとして危機感を表明している。

<中央日報5/9コラム「クアッドと韓国」

また、次期産業通商資源部長官に指名された青瓦台幹部(ムン・スンウク国務調整室第2次長)は国会の人事聴聞会で、東南アジアや中央アジアなど新興市場の開拓とともにCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)への加盟も国益の観点から積極的に検討する」と述べたという。

<ハンギョレ新聞5/5「韓国の新産業部長官候補、CPTPP加盟を積極的に検討」>

ちょっと、待ってくれ。クワッドもCPTPPも同じ価値観を共有する国どおしの同盟であり、なによりも価値観を異にする中国に対抗し、あるいは包囲するためのものだったはずである。

価値観ということで言えば、日本と韓国ほど互いに相容れない国はない。それは慰安婦や徴用工といった歴史問題だけに留まらず、断じて認めることができない「旭日旗」侮辱や「日本海」呼称問題、さらには、福島第一原発の処理水問題に対する韓国側の非科学的、感情的な対応を見ればあきらかだ。そもそも対等な立場で議論することなど今やとうてい不可能であり、日本やIAEAの科学的見解を無視した論難を一方的に続け、非理性的、反知性的な主張が繰り返し、風評被害を煽るだけ煽っている。こんな国とは、日本は同じ議論の場に立つべきではないし、協力できる余地はどこにもない。

クワッドは、いずれ英国などを含めたファイブアイズに発展する可能性もあり、そうなれば中国を仮想敵にした軍事情報同盟となるはずで、その場合、レッドチームに片足を突っ込んでいる韓国がそこに加われば、軍事情報が中国や北朝鮮に筒抜けとなる恐れがある。信頼できない日本とは手を組むことはできないといって、日韓軍事情報保護協定GSOMIAの破棄を一方的に通告してきたのは韓国である。日本には、韓国駆逐艦による火器管制レーダー照射事件や自衛隊旗「旭日旗」を戦犯旗だと貶める世論など、韓国を信頼できない理由や事情は鬱積している。対北朝鮮問題に関しては、米国を間に挟んだ日米韓協力体制だけで十分で、日韓が直接協力する分野はなく、互いにそれを望んではいない。

CPTPPへの加盟問題に関しては、CPTPPは貿易に関する国内手続きの透明化、市場開放など、現在あるさまざまな国際的な貿易取り決めのなかでも最も先進的かつ包括的で、透明化された内容を誇っている。韓国自身は、複雑な国内事情のなかで、それらをすべて受容できる度量がどれだけあるのか?

たとえば韓国は、電気自動車や水素燃料自動車を購入する際の補助金の支給など、自国の自動車産業を保護するために多額の財政支援を行なっている保護主義国家である。日本の韓国向け半導体素材の輸出管理を強化した際に韓国政府がとった対抗措置は、フッ化水素など半導体素材を国内生産に切り替えるための多額の研究開発予算をつぎ込むことだった。国家の枠組み、国境の壁を超えて自由な市場に任せる経済政策ではなく、超国家主義的な経済計画、政府主体の全体主義的な経済政策にこだわる国であり、不動産政策や雇用労働政策では政府の介入でかえって失敗する事例を数多く残すなど、かつての毛沢東主義の中国の経済政策をみるようだ。

一方、韓国市場参入を試みる外国企業にとっては、非関税障壁が高すぎて、最初からまともな自由競争は諦めざるえないのが実態だ。こんな国とCPTPP加盟国の間で同じ価値観を共有することができるのか、はなはだ疑問というしかない。

クワッドにしてもCPTPPにしても、その最初のコンセプトや価値観は日本が率先して提唱したものであり、今でも中心的な役割を担い、それなりの発言力をもっている。韓国の加盟問題については、日本がまず異議を唱え、仮に加盟させるとしても前述のような国内事情を厳しく審査しなければならない。まず何よりも、韓国という国が、日本やその他の国と同じ価値観、同じ土俵で話をできる国なのかどうかを確認する必要がある。歴史問題で「慰安婦」という一方的な被害の申告だけで、その言い分に対する客観的な検証や第三者による証言、証拠の提示もできず、ハーバード大学教授が学問的な検証を経て「強制連行説」や「性奴隷説」を否定しただけで、論文の撤回を求めるというあるまじき行動に出て、学者の人格攻撃を繰り返し、学問の自由を侵害する暴挙を平気でやってのける、基本的人権無視の国でもある。

福島第一原発の処理水問題では、次期首相候補に名前が挙がった金富謙(キム・ブギョム)という人物は国会の聴聞会で「単に隣国に対する被害だけでなく、全地球を汚染させる途方もない行為」だと言及しているが、科学的には人体への放射線被害はないと実証されているトリチウム水の放出を、あたかも原爆と水爆を同時に太平洋に投げ込み爆発させたかのように騒ぎまくる非科学的な国民であり、それを政治家も外交官も先頭に立って煽り立てる非理性的な国家なのである。

それでも韓国がクワッドやCPTPPへの加盟がどうしても必要だと考え、それを望むなのなら、日本に対する態度を韓国はまず改めるべきだ。いつまで旧植民地国の被害者面(づら)をしているのか。戦後75年以上たち、韓国自身も世界10位以内の経済大国だと自負するならば、それにふさわしい風格、品格を備えたらどうか。韓国が日本に対して行なっている竹島領有権の主張や日本海の呼称問題、旭日旗に関する不当な横やりは、すべて過去の恨みを晴らし、少しでも日本より優位な立場的に立ちたいと思う願望を体現したものであり、つまり、いつまでも植民地状態を引きずったままの、誇らしいものは何も所有していなかったころの奴隷根性の裏返しなのである。

もう一つ、韓国と日本が、あるいは韓国と西側先進国が、価値観を共有できない原因と考えられるのは、文在寅とその政権は北朝鮮と同じ歴史観、北朝鮮と同じ発想に完全に囚われていることにある。コリア国際研究所の朴斗鎮所長によると「文政権の人々は、韓国は抗日戦争を戦うことはできなかったけれど、北朝鮮は抗日を戦ったと信じている。抗日闘争できなかったというのが韓国のコンプレックスとなっている」という。その文在寅が目を向けている先にあるのは北朝鮮の金正恩だけで、その金正恩に直接に会って交わした約束にがんじがらめに囚われ、身動きできなくなっているのが文政権なのである。

Youtube動画李相哲テレビ5/9「文在寅の北朝鮮行脚、バイデンが金正恩と文氏に騙される!」>

中世カルト国家である北朝鮮と同じ価値観、同じ発想をもつ韓国とまともな付き合いができるはずがなく、真剣な外交交渉を行ないたいと思う国もないだろう。

(写真:景福宮神武門から望む青瓦台)

富士の高嶺から見渡せば

大学で中国語を専攻して以来、半世紀にわたって中国・香港・台湾を見続け、朝鮮半島にも関心を持ち続けてきました。これらの国との関係は過去の歴史を含め、さまざまな虚構と誤解が含まれています。富士の高嶺から、雲海の下、わが日本と周辺の国々を見渡せば、その来し方・行く末は一目瞭然。霊峰富士のごとく毅然、敢然、超然として立てば、視界も全開、隣国を含めて同時代の諸相に深く熱く切り込めるかもしれません。

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