本当は忘れたいのでは?「慰安婦」体験

Yahooニュースを閲覧すれば、見たくなくても目に入るのが、韓国メディアの日本語版ネット記事、しかも反日をテーマにした韓国内の動きや言論だ。それにしても「慰安婦問題」を伝えるネット記事の中身は、もはや笑ってしまうしかないレベルにまで落ちている。

聯合ニュースが、ソウル市内を走る路線バス5台に、慰安婦像を乗せて運行する計画が進んでいると最初に伝えたときには、笑ってしまった。混んだバス車内で、そんな像を設置したら乗客の邪魔になり却って不評をかこつことになるのではないか。市民はバスの中に置かれた慰安婦像を見て、何か意味を見出すことができるとでも言うのだろうか。どう考えても理屈が分からない。

(聯合ニュース8月10日「ソウルで少女像乗せたバスの運行推進 解放記念日に合わせ」

ところで韓国では8月14日は「世界慰安婦の日」と呼ぶのだそうだが、同じ聯合ニュースによると、この日に合わせて新たに10体の慰安婦像が各地に設置される予定で、これで韓国全土には83体もの慰安婦像が立つことになるという。数が多ければ価値が上がるというものではないと思うが、いったいこれらの慰安婦像は誰に向かって何を訴えるためのものなのか。聯合ニュースの記事にも出ているが、慰安婦像の設置が各自治体の間の競争になっていたり、「世界慰安婦の日」に合わせて像の除幕を行うことだけが目標になっていたりするケースが見られ、慰安婦像を何のために設置するのか、という本筋の議論はほとんど行われていないようだ。

(聯合ニュース8月11日「解放記念日に合わせ各地で少女像除幕へ 80体超に」

最近の慰安婦関連のニュースでは、ほかにも90歳の元慰安婦の女性が自ら歌った歌を録音し、CDを発行したとか、元慰安婦の女性がプロ野球の始球式に招かれ、球場でインタビューされる、などのニュースがある。元慰安婦の皆さんも、何だかとても忙しそうである。しかし、高齢の女性をわざわざ真夏の球場にまで呼んで、登場させなければならない、その理由とは何なのだろう。記事によると、始球式に招待したプロ野球チームは、「慰安婦被害者を慰め、支援するとともに、社会的な関心を集めるためだ」と説明しているそうだが、韓国社会において慰安婦への社会的関心はそんなに低いのか。これほど慰安婦関連のニュースが流れない日はなく、83体もの慰安婦像が全国に陳列されて、訴えかけてもそれでも関心が低いということなのか?

(中央日報8・9「90歳で歌手の夢をかなえた慰安婦被害者吉元玉さん」)

中央日報8・9「慰安婦被害女性、光復72周年を迎えて始球式に登場」

思い出すのは、ことし1月NHKが、韓国の元慰安婦やその家族に直接取材して放送したクローズアップ現代での、慰安婦家族の証言である。日韓合意で日本政府が用意した10億円は、元慰安婦への支援金として支払われるが、今年1月の時点で生存している元慰安婦46人のうち34人が支援金の受け取りに同意し、31人がすでに受け取ったという。しかし、こうした事実は韓国内ではほとんど報道されていない。慰安婦像の設置を進める市民団体は、日本が法的責任を認めた賠償金ではないので受け取るべきではなく、10億円は日本に返すべきだという立場だ。

NHKのインタビューに答えた元慰安婦は、認知症が進み直近に起きたことはすぐ忘れるので、1億ウォン(1000万円)の支援金をもらったことも、そのお金の意味さえも分かっていないという。家族たちは、支援金を受け取ったことが、周囲に知られれば、元慰安婦の家族だと知られ、白い目で見られるので、決して口外することはできないとも語る。

元慰安婦の家族の証言

「母も事実を明らかにすれば、『あの人は慰安婦だったらしいよ』と周囲から白い目で見られ、子孫までも不名誉になってしまうから隠してきたのです。そのため、お金を受け取っても、堂々とそう言えないのが、つらいです。心の中にしまい悩んでいます。」

「やはり(日本側が)本人に直接会って『申し訳なかった』と、ひと言でも謝罪してくれたら、死ぬときに気持ちが和らぐと思うのですが、ここまで時間がかかってしまった以上、(お金を)もらったことで終わりにしてほしい。(お金を)受け取ったのだから(少女像は)撤去しなければならないと思います。」

また別の元慰安婦も「私の人生は苦労ばかりで悲しかった。思い出すと涙が出ます。慰安婦が苦労してきたことを世間の人たちは分かっていないのに、あのようなこと(少女像をめぐる騒動)をやっています。(日本からもらったお金を)返すべきだと言ってますが、私は返したくありません。本当に胸が痛みます。」

NHK「クローズアップ現代+」2017年1月24日(火)放送「韓国、過熱する“少女像”問題~初めて語った元慰安婦」

元慰安婦として姿を見せ、マスコミに顔を出すのは特定に数人だけで、いまだに差別におびえる元慰安婦とその家族は大勢いる。慰安婦像のコピーがあちこちに林立し、バスの中にまで侵入してきて、慰安婦像が日常生活のなかでつねにまとわりつく状況になっても、慰安婦に対する差別はおそらくなくならないだろうと思う。慰安婦像が目指しているのは、元慰安婦たちが今抱えている課題の解決ではなく、あくまでも過去の虚飾の物語づくりと日本を貶め恨みを晴らすことにしか目は向いていないからだ。

富士の高嶺から見渡せば

大学で中国語を専攻して以来、半世紀にわたって中国・香港・台湾を見続け、朝鮮半島にも関心を持ち続けてきました。これらの国との関係は過去の歴史を含め、さまざまな虚構と誤解が含まれています。富士の高嶺から、雲海の下、わが日本と周辺の国々を見渡せば、その来し方・行く末は一目瞭然。霊峰富士のごとく毅然、敢然、超然として立てば、視界も全開、隣国を含めて同時代の諸相に深く熱く切り込めるかもしれません。

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