死者数の累計も3月12日の時点で100万人当たり6.63人で韓国が世界1位、2位の米国(2.93人)の2倍、3位のドイツ(1.82人)の3倍以上、日本(0.89人)の7倍以上だ。
Daily new confirmed COVID-19 deaths per million people
いま世界で発生している新型コロナウイルスの感染者の5分の1は、韓国で発生していることになるという。
<死者数は、ほとんど大規模災害か戦争状態>
韓国では3月16日に一日の感染者数が62万人を超え、3月23日にも49万人を記録したのをはじめ、連日30万人台の感染者の発生が続き、累計の感染者数も23日の時点で1042万人となり、1000万人を突破した。総人口5147万人うち、5人に1人は感染した計算になる。3月だけで715万人(23日現在)も増えたことになる。
保健当局の予測では、3月中旬ころに一日の感染者が35万人程度に達し、ピークを迎えると予想していたが、実際には予測よりはるかに規模は大きく、現在、流行しているオミクロン株BA-1に続いて、今度はステレス・オミクロン株BA-2への置き換わりが進んでいるため、ピークは4月にずれ込むと言われている。
韓国のワクチン接種は、3回目接種を終えた人の割合が、総人口の62.9%、60歳以上では88.8%に達し、100人あたり234.47回で世界1位であるにも関わらず、この感染者である。ワクチンは重症化率を下げる効果だけだというが、韓国の死者の割合も世界1位である。
死者数は3月16日に429人、23日には470人と過去最高を更新している。2月末の時点で8266人だった死者は23日現在1万3902人で、3月に入ってから、死者は5600人以上増えたことになる。火葬場はどこもフル稼働だが、深夜まで稼働してもまだ間に合わない状態で、葬儀を延期する人が続出しているという。専門家は「今後2-3週間は毎日600-900人台の死亡者が出る可能性がある」と見ているという。
それだけではない。韓国統計庁の「人口動向」によると、今年1月の死亡者は2万9686人、前年同月比で9%増加した。前年同月に比べて死亡者数の増加率は、去年12月は17.7%、11月は10.7%という高い水準を維持しているという。例年より増えた死亡者数は『超過死亡』として捉えることができ、要するに「コロナがなければ死亡しなかった人の数」ということができる。去年12月のコロナによる死亡者1900人だが、実際には手術・抗がん治療受けられず、コロナ以外で死亡した「超過死亡」数は5000人だと言われる。
<朝鮮日報3/22「独自・コロナで医療崩壊の韓国…昨年12月だけで超過死亡数5000人」
<相変わらずK防疫の自慢だけ、無策の医療体制>
亡くなっている人の95%以上は60歳以上の高齢者だとはいえ、自然死ではない死亡者がこれだけ発生しているということは、ほとんど大規模災害か戦争状態であることを意味している。まして、万全の感染防止対策やワクチンや飲み薬など医療体制の整備で感染者・死者を減らすことを政策の中心にしているなかで、それに失敗したということは、ほとんど人為的・政策的ミスによる死と言っても過言ではない。そうしたなかで、韓国の現政権の為政者は、こうした大量の死者の発生に対して謝罪し、責任を表明するどころか、逆に相変わらず「K防疫」を自慢し、自分の政権の成果に数えている。まったく正気か?とあきれるほどだ。
韓国大統領府青瓦台は20日、「文在寅政権国民報告」と題して5年間にわたる文在寅政権の国政運営成果をまとめた「オンライン白書」を公開し、「世界が感嘆したK-防疫」などとその防疫対策を評価した。
<朝鮮日報3/21「世界が感嘆したK防疫」…韓国大統領府、白書で自画自賛」>
「K防疫」といえば、マスクの配給やドライブスルー方式のPCR検査、国民登録番号制度に基づく感染者の追跡管理などで、当初は目を見張るものがあったが、それは感染者と死者が諸外国に比べて少なかったために、そうした対策に効果があったと見られただけだ。しかし、その後、ワクチンや飲み薬に対する対応の遅れが目立つようになると欠陥ばかりが目に付くようになった。そもそも文大統領は、去年5月訪米した際、韓国をワクチンの製造供給拠点にするというグローバル・ワクチンハブ化計画、米韓ワクチン・パートナーシップ構想を打ち出し、ワクチンの独自開発や飲み薬の開発を行うと宣言していた。しかしそのいずれも実現していない。せいぜい行っているのは、ワクチンの原料を欧米から輸入して瓶詰め・ラベル貼りの作業程度だ。「K防疫」「Kバイオ」などと騒ぐだけ騒いで、いまや世界最高の感染者発生率、死亡率を誇る国なのである。
在宅療養者が200万人に迫り、そのうち60歳以上などリスクが高く集中管理が必要だとされる人が28万人もいる現状について、専門家は「自宅療養ではなく、事実上の『在宅放置』『在宅監禁』だ」「今の韓国は新型コロナ無政府状態も同然だ。『このような感染予防措置を取ったら絶対にダメだ』という逆説的な教訓を韓国政府は全世界に示している格好だ」と警告を発している。
<朝鮮日報3/18「自宅療養200万人を放置…今の韓国は新型コロナ無政府状態」>
さらに、中央日報の論説委員アン・ヘリ氏のコラム記事は強烈だ。
「地域の各薬局で解熱剤と風邪薬が品切れという状況を目の当たりにすると、虚しい叫びだとは思いながらも政府はいったいどこにいるのか、この2年余りの間に何をしたのかと改めて問わざるを得ない。いつも判断は未熟で、口先ばかりでごまかし、このため国民が必要とするマスクもワクチンも治療薬もすべて、国民が適時に手にすることはなかった。誰も責任を取らず、謝罪もしない。私たち国民の命の価値はこれほど小さなものなのか。」
<為政者としての責任はひと言も語らない文大統領>
一年前の当ブログでも書いたが、文氏は去年2021年の3.1独立運動記念日の演説で「日帝は植民地の民衆を伝染病から守れなかった」と述べ、1919年の3.1独立運動当時、世界を席巻した「スペイン風邪」の被害に触れ、朝鮮総督府による当時の感染症対策を「防疫と衛生を口実に、強制的な国勢調査や例外なき隔離措置を頻発した」と日本の韓国統治を非難した。要するに、新型コロナウイルスという新たな感染症に引っかけて、日本統治時代の歴史問題を引っ張りだし、日本の「植民地」統治に対する批判を展開し、ついでに「K防疫」と称し世界のモデルになったと自画自賛する韓国型コロナ対策を自慢したのである。
<当ブログ21/3/14「日本は朝鮮民衆を伝染病から守らなかった、は本当か①~③」>
100年前、「日本が当時の韓国の民衆を伝染病から守らなかった」とその統治の責任を追求するのなら、いま新型コロナで連日300人、400人と死者が出ている事態に対して、統治の責任者として、当然、責任をとるつもりだと思われる。
しかし、実質的に任期中の国民向けの最後の演説となった今年の3.1独立運動記念日の演説では、新型コロナに言及したのは、以下のような文脈で、自慢ばなしに終始し、感染拡大に対する危機感もK防疫失敗に対する言及もなかった。
<「国民の成熟した市民意識は新型コロナのトンネルを突き進む立役者でした。防疫の成果を基に昨年、韓国経済は4%の成長率を達成し、一人当たりの国民所得3万5000ドル時代を開きました。(略)私たちはもう誰も侮ることのできない富強な国になりました。世界が公認する先進国になりました。何より胸が一杯になるのは、大韓民国が水準の高い文化の国になったことです。(略)
コロナ危機の中、国際秩序が揺れ動いています。(略)私たちは今、危機を機会に変え新たに跳躍しています。新型コロナ危機の真っ只中から始まった韓国版ニューディールは、世界を先導する大韓民国の未来戦略となりました。デジタルとグリーンニューディールで新しい産業を興しより良い雇用を創出しています。」>
<The New Stance編集部訳「第103周年3.1節記念式 文在寅大統領演説(2022年3月1日)」>
この調子なら、おそらく「K防疫」失敗への反省も謝罪もなく、のうのうと5月9日の退任の日を迎えるのだろう。コロナで死んでいった1万4000万人の人々とその遺族、後遺症に苦しむ感染経験者、コロナ事態で職を失い人生を狂わされた大勢の国民は、不満のはけ口をどこに求めたらいいのだろうか?
<それでも文在寅支持を表明する韓国国民の責任>
それにしても分からないのは、これほどの無為無策ぶりを示し、有効な政策を何ひとつ打ち出せない文在寅大統領に対する支持率が40%以上という高率を維持し、政権末期としては歴代最高という事実だ。リアルメーターによると、文大統領の国政遂行に対する支持率は、大統領選で与党候補が負けたあとは30%台まで下がったが、その後4.6ポイント上昇し、3月中旬の時点では42.7%だという。そして、前向きに評価する理由としては「外交、国際関係」をあげた人が最も多く、次いで「新型コロナへの対応」の順となっている。
<KBS日本語放送3/21「次期大統領の国政遂行 期待を示す数値が下落」>
「新型コロナへの対応」は、もはや再論の必要はない。対米外交・対日外交だけでなく、対北朝鮮関係もこれだけ滅茶苦茶にし、北朝鮮との「終戦宣言」どころか、ついにICBM発射まで許すことになった人物の「外交・国際関係」のどこが評価できるというのだろうか?
驚いたのは青瓦台の国民請願掲示板に「文在寅(ムン・ジェイン)大統領様、愛しています」というタイトルの文章が投稿されたというニュースだ。そこには「今まで私の生涯の最高の大統領は文在寅という人一人だけ」「過去5年間文在寅大統領の支持者として生きてきたということを一生誇らしく思う」と書かれていたという。そしてこの投稿には掲載から12日間で19万人を超える賛同者がいるという。
<中央日報3/22「私の生涯で最高の大統領は文大統領だけ」…韓国大統領府請願文に19万人が同意」>
この国民にしてこの大統領ということか?文在寅支持の「42.7%」に含まれる韓国国民は、世界からどう見られているかを真面目に考えたほうがいい。
「ろうそく革命」で弾劾・失職し、収賄罪などで22年の実刑を受けていた朴槿恵前大統領が、赦免・退院を経て24日、故郷大邱の私邸に入った。私邸前に集まった5000人の支持者らを前に挨拶している途中、焼酎の瓶が投げつられるハプニングがあった。その瞬間、女性SPを含め警護の私服SPら10人あまりが整然と朴氏を取り囲み、壁を作った。朴氏はその1分後には何もなかったかのように笑顔を見せて挨拶を続けた。この一連のできごとをテレビの映像を通して見た感想は、病気上がりの朴槿恵氏のほうが一国の指導者としてはるかに肝が据わり、覚悟ができているように見えたことだ。挨拶のなかで「私なりに国と国民のために一生懸命働くつもりだったが、かなえられなかったたくさんの夢がある。それらは、もうほかの人のものだと思う」と語った。惜しい人を活躍の舞台から引きづり下ろしたものである。それもこれも文在寅を中心とする左派運動圏グループであり、ろうそくを掲げた韓国国民なのである。
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