『赤い水曜日』著者・金柄憲氏を迎え慰安婦問題シンポジウム
「慰安婦問題を巡る日韓合同シンポジウム」が、国際歴史論戦研究所(山本優美子所長)の主催で11月16日、東京文京区の文京シビックセンター26階スカイホールで開かれた。韓国側からは韓国国史教科書研究所の金柄憲(キム・ビョンホン)所長と「ペンアンドマイク」の元記者で現在フリージャーナリストの朴舜鐘(パク・スンジョン)氏が参加した。日本側からは作家の大髙未貴氏、「史実を世界に発信する会」の茂木弘道会長などが参加し、ビデオ参加でハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授、延世大学の柳錫春(ユ・ソクチュン)教授が参加した。
このうち金柄憲氏は、「慰安婦法廃止国民運動」の代表として、慰安婦少女像の撤去を求めて毎週水曜日にマイクとプラカードを持って、ソウルの旧日本大使館前で活動し、最近、邦訳が出版された『赤い水曜日 慰安婦運動30年の嘘』(文藝春秋)の著者でもある。
この日のシンポジウムで、金柄憲氏は「韓国の小中高教科書内の慰安婦記述に対する諸問題」というテーマで講演し、「韓国の教科書で教えられる慰安婦に関する記述は、すべて嘘であり、虚偽・捏造教育が行われている。日本への憎悪心を焚きつけるだけでなく、未熟な子供たちに性暴力や性奴隷などという言葉を使って恐怖を与え、情緒的虐待を行っている」と主張した。
その上で「嘘をつくことは国を亡ぼすことであり、何の国益にもならない。子供たちの教科書から慰安婦に関する記述がなくなるまで戦う」と決意を語っていた。以下に、その講演の一部を紹介する。
「嘘を教える」ことは「亡国への道」
現在、韓国では慰安婦問題と関連して、日本軍による慰安婦の拉致、強姦、殺害などという虚偽事実を既成事実化し、広範囲に拡散・教育する動きが進んでいる。それを担っている代表的な機関・組織が正義記憶連帯と女性家族部、東北アジア歴史財団、司法部、マスコミ、そして教育部だ。
このうち教育部が管理している小中高校の教科書に収録された慰安婦に関する記述のさまざまな問題点を指摘する。
『小学校社会5-2』には、少女像とその周囲で行われる水曜デモの写真とともに、「日本軍慰安婦とは、日本軍が侵略戦争を起した後、日本軍と日本政府が戦場に強制的に動員し、持続的に性暴力と人権侵害を加えた女性を指す」とある。
しかしながら、この「日本軍と日本政府による強制動員、持続的な性暴力と人権侵害」という記述はいずれも偽りだ。
中学校の教科書は慰安婦に関する記述は簡略で、高校の韓国史と内容が重複するので割愛する。
「国史」教科書の表紙には必ず少女像、慰安婦は教育必須部分?
高校の韓国史の教科書は、全部で9種類あるが、それらの教科書の表紙には、韓国の歴史的な建物や人物の写真とともに、少女像の写真が必ず使われている。
そして少女像に関する記述では「日本軍慰安婦―性暴力被害者から世界の人権運動の中心へ」(東亜出版p299)、「集会に参加した人々は、過去の日本の侵略戦争中に起きたさまざまな蛮行に対し、日本政府から心からの謝罪を求めている」(金星出版社p309)、「歴史と正義が生きている限り、真実は隠すことはできない。日本政府は公式的に謝罪し賠償せよ!」(未来N、p213)など、政治的な主張、「政治スローガン」が必ずつけられている。
志学社の高校教科書には「日本軍は満州事変の時期から軍慰安所を運営し、韓国をはじめ中国、東南アジアなどで数多くの若い女性を日本軍慰安婦と言う名前で強制動員した」(p207)と記述している。この「日本軍は・・・数多くの若い女性を・・・強制動員した」という記述は、すべての教科書に収録された慰安婦に関する共通の内容だ。
少女を拉致、拷問、「性暴力」や「虐殺」の記述も
リベル社の高校教科書には「日帝が侵略戦争を遂行しながら犯した最も反人倫的な犯罪行為は、女性を戦争に強制動員したことだった。日本軍は朝鮮をはじめ中国、東南アジアなどで数十万人の若い女性を日本軍慰安婦として強制的に連れて行き、性奴隷生活を強要した。日本の官憲が関与するなか、日本軍は数多くの女性を拉致したり誘拐したりし、日本軍慰安婦として動員した。日本軍の指示を受けた民間募集業者が就職詐欺、人身売買など、不法な方法を動員して女性を日本軍慰安婦として連れて行った。1944年には女子挺身勤労令を公布し、12歳以上40歳未満の女性を後方の兵站支援人材として動員した。この際、挺身隊という名で強制徴発された人々の多くが日本軍慰安婦として連行された。日本軍慰安婦は劣悪な環境の中で人権蹂躙され、病気や暴行で死んだりもした。」(p209)とある。ほかの高校教科書の慰安婦記述も、このリベル社の記述と大同小異だが、しかし、この記述の内容はすべて事実ではない。
東亜出版の教科書には「一方、日帝は軍慰安所を設置し、敗戦時まで韓国をはじめ植民地と占領地の女性たちを日本軍慰安婦に動員し、恐ろしい生活を強要した。被害者たちは殴打や拷問、性暴力などで、一生治癒し難い苦痛の中で生きなければならず、一部は反人倫的犯罪を隠蔽しようとする日本軍に虐殺されたりもした」(p195)とある。
慰安婦虐殺の主張は、2021年1月8日の慰安婦損害賠償請求訴訟の判決文にも登場する。「慰安婦が逃走する場合、日本軍が直接追撃して逃走した慰安婦を再び慰安所に連れて行ったり、射殺したりした。これについて金所長は外交部に「虐殺された慰安婦に関する情報があれば公開してほしい」という情報公開請求を行ったが、外交部の回答は「情報不存在」だった。つまり虐殺された慰安婦は存在しないという意味だ。
慰安婦記述は子どもの精神的健康を害する情緒的虐待
以上、紹介してきたように韓国の教科書の慰安婦記述には、1,慰安婦に対する虚偽、捏造教育を行っている。2,児童・青少年に対する情緒的虐待を行っている、という2つの深刻な問題がある。
「慰安婦に対する虚偽、捏造教育」としては、慰安婦は性的サービスを提供し、金銭を稼いだ職業人であり、強制動員、日本軍性奴隷、処女供出(挺身隊動員)、慰安婦虐殺などの記述はすべて証拠のない虚偽を教えている。慰安婦の本質は貧困であり、私たちの国の恥ずべき過去を他国に転嫁してはならない。
「児童・青少年に対する情緒的虐待」については、慰安婦(売春婦)は成人の領域に属する概念であり、教科書での「誘引、誘拐、拉致、強姦、性暴力」などの言葉の使用は、児童・青少年の精神的健康を害する情緒的虐待といえる。また、慰安婦に対する虚偽・捏造教育は、友好国である日本に対する漠然とした憎悪心を助長する犯罪行為だといえる。
「嘘をつかない」が唯一の解決策であり国益でもある
それではこうした慰安婦記述を解決する方策とは何か?
成長する未来世代に嘘と憎悪を教えることは、日韓間の葛藤と対立の種を蒔くことになる。現在、韓国の子供たちが勉強している教科書に収録された慰安婦の記述はすべて嘘である。日韓間の慰安婦問題は、まず先に日本で始まり、韓国の正義記憶連帯が慰安婦の経歴がある貧しい老人たち前面に出し、国民を欺き、世界の人々を欺いた国際詐欺劇だ。
私は大韓民国国民として、この慰安婦問題を取り上げ、問題の解決方法は何か、どうすることが国益のためになるかを常に考えてきた。その結果、『嘘をつかないこと』こそが唯一の解決策であり、国益になるという結論に至った。嘘をつかない時、相手からの信頼を得ることができ、信頼を得ることこそが国益と直結するからだ。これは日本においても同じことが言える。
ある人は私の行動に対して「親日派」「売国奴」と罵倒する。しかし、「嘘をつくこと」こそ「亡国の道」であり、「嘘をつく者」こそ「亡国漢」だと私は断言する。
しかし、残念ながら、慰安婦問題と関連する韓国の教科書は虚偽捏造の記述でいっぱいだ。そのため、私は子供たちの純粋な性情を荒廃しかねない慰安婦に関する記述はすべて削除することを主張し、そのためにいま最前線で戦っている。私は大韓民国で慰安婦詐欺が消え去り、子供たちの教科書に歪曲・捏造された慰安婦の記述が削除されるその日まで、この戦いをやめない。未来の責任を担う、成長過程にある世代に偽り教えることはできないからだ。皆さまの多くのご声援、ご参加を心より願います。
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