韓国サッカーに日本は「宿敵」「ライバル」とは言わせない

「なでしこジャパン」の快進撃が楽しみ

FIFA女子ワールドカップ、オーストラリア&ニュージーランド大会では、「なでしこジャパン」の大活躍・快進撃が続いている。

何よりも「なでしこ女子」たちの笑顔がみな可愛くで、こっちまで幸せにしてくれる。ゴールを決めた瞬間にチームメートの皆が駆け寄り、固く抱き合い飛び上がって喜び、ピッチ脇の仲間にも駆け寄って喜びを分かち合う、そんな幸せな時間、かけがえのない姿をこれまでの4試合で合わせて14回も演出してくれ、感動の瞬間を味あわせてくれた。本当にありがとうといいたい。

宮澤ひなた選手が相手選手を置き去りにして全力で駆け上がり、ボールタッチの次の瞬間、正確なゴールシュートを決めるシーンなどは、何度見ても涙がでてくるし、長谷川唯選手の巧みなボールさばきと、いちばん小柄なのにフィジカルのぶつかり合いでも力負けしない対人テクニック、正確なロングパスの供給は、まさに「司令塔」という名がふさわしい一流プレーヤーだと思う。フォワードの田中美南選手や植木理子選手らは、つねにボールの向かう先へ一瞬の休みもなく走り回り、時には自陣の奥に戻ってディフェンスにも貢献するなど、どの選手もチームのために役割以上のハードワークに徹している姿が当たり前となっている。

ネット観戦で猛暑の過ごし方も変わった

ということで、ことしの夏は、連日の猛暑で外出するのも危険(とくに年寄りには)という状況にもかかわらず、24時間クーラーが効いた屋内でヌクヌク?と過ごしているが、この女子サッカーW杯のおかげで、それもいっこうに苦にならない、という幸せな時間を過ごさせてもらっている。

現地・南半球は今、冬の真っ最中で、気温は10度以下に下がることもある中での熱戦ということだが、日本は時差がほとんどないこともあって、テレビ観戦は夕方の時間が中心で、朝早かったり夜遅い欧米に比べるとはるかに楽だ。そのうえ、NHKのテレビ中継は日本の対戦ゲームしか見ることができないが、インターネットを介して、FIFAの公式サイトにアクセスすれば、すべての国の対戦ゲームが無料のライブ映像や録画映像で見ることができる。つまり、同時間帯に行われる同じグループの別の対戦も試合後にチェックすることができるし、例えば各チームの戦い方を一戦ごとに振り返りチェックすることで、素人ながらその戦力や特徴を何となく分析することもできる。しかも試合の経過は日本語による実況解説でも聞くことができる。(録画のフルマッチ映像Full Match Replayはアップされるのに1日以上待たされ、再生動画の途中に何度かCMが入る。2分あるいは5分のハイライト映像は試合直後にアップされる)

そうしたオンライン観戦を通じて、優勝候補と言われたドイツのグループステージでの敗退や同じく優勝候補の筆頭にあげられたアメリカがベスト16で敗退する試合も見たが、何となく敗戦の理由は分かったような気がする。

過去に活躍したスター選手は揃っていても、みな30代とピークは過ぎていて、迫力にかけ、何より得点力が圧倒的に不足していた。

それに比べて「なでしこジャパン」の選手たちの組織的なボール回しの巧みさや個々の選手のスピードの速さ、パスやシュートの正確さなどが他のチームに比べても際立っていることがよく分かるし、何よりU20やU17で活躍した若い選手が中心で、みなフレッシュで物怖じしない度胸がある。

ケガ人続出で荒れた韓国・ドイツ戦

ところで、そうしたオンライン観戦のなかでその戦い方に違和感を感じたのは、世界ランキング2位のドイツを相手に韓国が1対1の引き分けとし、ドイツを初めてグループステージ敗退に追い込んだ試合であり、その後の韓国国内の反響にはもっと驚かされた。

この試合では、開始直後の5分に韓国が先制し、ドイツが前半41分に同点にしたものの、そのまま1対1で引き分けた試合だった。過去のワールドカップで優勝2回、準優勝1回、すべての大会でベスト16進出を果たしていた強豪ドイツは、追加点を入れて勝ち点3さえつかめば決勝トーナメントに進出できる一方、韓国には5点以上の得失点差をつけてドイツに勝ち、しかも別の試合でコロンビアがモロッコに勝つというのがベスト16進出の条件だった。

しかし、第1,第2戦で2敗し勝ち点ゼロの韓国は、そんな奇跡を起すことより、優勝候補のドイツをグループステージで初の敗退に追い込む、ジャイアントキリングの道を選んだ。応援の韓国人サポーターのなかには「Again 2018」と書かれたポスターを持った人がいたことでも分かるように、2018年の男子ワールドカップで同じくグループステージ第3戦で韓国がドイツを破り、決勝トーナメント進出を阻止した試合の再現を韓国国民の多くは望んでいたようだ。

驚くべきは、この試合で見せたファウル数とケガをした選手の治療にあたる医療スタッフの出動回数である。前半のファイル数は双方とも4回だったが、後半には双方とも8回に増え、ファウルを取られなくても明らかに激しいタックルや体をぶつけ合い、フィジカルの強さで対抗する場面が増えた。

激しいタックルやディフェンスで倒される選手も続出し、治療のためのスタッフがピッチ内に出動する回数は、ドイツ選手に対しては前・後半とも1回だけだったのに対し、韓国選手に対する治療は前半0、後半は一挙に8回まで増えた。とりわけ後半のアディショナル・タイムは当初は9分と宣告されたが、この間に韓国のGKやフォワードが倒れこみ、試合はストップしたまま、治療のためだけの時間が流れ、結局、アディショナルタイムは16分も費やされた。勝利のためには何としてもゴールをもぎ取りたいドイツの選手とサポーターにとっては、治療のためだけに費やされる時間はフラストレーションが溜まるだけであり、またオンラインで見ていた韓国・ドイツ以外のサッカーファンにとっても、治療風景だけを延々と見せられる間延びした試合には、興味も半減したに違いなかった。

1勝もできないのに韓国では歓喜の声

しかし、そんな試合でも韓国の評価は違った。

韓国メディア『InterFootball』は「衝撃を受けたドイツ、韓国にまたやられた。2018は男子が史上初のグループステージ敗退→2023年に女子も初めて敗退」と報じ、「ドイツはもはやW杯で韓国と対戦したくないだろう」と皮肉った。そして「韓国は勝点1だけしか獲得できず、残念ながら4位で大会を終えた。それでも諦めない精神力を見せながら、世界最強ドイツに最後まで食らいついた。その結果、大波乱が起きた」とその戦いぶりを讃えた。

<サッカーダイジェストweb 8/4「最強ドイツをまた打ちのめした 独代表を“道連れ”にした韓国女子に、母国メディアは誇らしげ!」>

自分たちが自力で勝利する喜びより、相手の失敗を喜び、相手の不幸を見て自分のコンプレックスを解消するという心理は韓国独特のものだろうか?韓国の文化は「恨」(ハン)の文化といわれ、単なる恨み辛みというより、劣等感や諦め、嫉妬、悲哀、懇願、空頼み、高望みなど、さまざまな鬱屈した感情が入り混じっているといわれるが、確かにストレートには理解できない複雑怪奇な心理といってもいい。

レベル、格ともに大差のついた日韓

ところでFIFA女子ワールドカップで、日本は9大会すべてに連続出場し、優勝1回、準優勝1回、ベスト16以上は今回を含めて5回進出しているのに対し、韓国は2003年、15年、19年、そして今回と4回出場し、試合に勝って勝ち点3を上げたのは2015年カナダ大会のグループリーグ第3戦スペイン戦を2-1で勝った一回のみ、ベスト16に進んだのもそのカナダ大会だけで、2003年と19年の大会はいずれもグループリーグ3戦3敗で敗退している。韓国女子のワールドカップでの戦歴13戦1勝2分10敗は、日本の現時点(8月4日)での全37試合で18勝4分15敗という戦歴とは比べようもない。

AFC女子アジアカップでも、日本は1986年以降はすべてベスト4以上の成績を残し、優勝2回、準優勝4回、3位5回なのに対し、韓国は13回出場でベスト4進出は5回、うち準優勝1回、3位1回という成績でしかない。韓国はこの成績にも関わらず、「日韓戦」ともなれば、日本を「永遠のライバル」だとか「宿敵」だと呼び、絶対必勝の相手だと息巻くのはなぜだろう?

サッカー男子でも、「宿敵」日本との直接対決は、過去2年半にA代表から年齢別のU17代表まで5試合連続、いずれも3対0で惨敗している。欧州のクラブに行ってプレーする選手の数は日本が136人に対し、韓国は28人だといわれ、その差は5倍以上に広がっている。

中央日報8月8日「サッカー、日本の欧州組、韓国の5倍…このままでは勝てない」

サッカー選手を輩出する裾野の状況は、日本が幼稚園を含めて全国に1万5000のチームがあり、82万6000人が参加しているのに対し、韓国の幼少年チームは1000チームにも足らず、その登録選手数は11万6000人だという。ここでも8倍近くの開きがある。

中央日報8月8日「韓国サッカー関係者80%「すでに10年前に日本に追い越された」

ドイツを引きずり下ろしたぐらいで有頂天になるより、もっと自分の足元に目をやり、自分の本来の力を見直すほうが先なのではないか?

すでに日本と韓国では、レベルと格の違いは誰が見てもはっきりしている。日本をいつまでもライバル呼ばわりし、宿敵だと敵視するのは、どこかの別の星にでも行ってやってほしい。

富士の高嶺から見渡せば

大学で中国語を専攻して以来、半世紀にわたって中国・香港・台湾を見続け、朝鮮半島にも関心を持ち続けてきました。これらの国との関係は過去の歴史を含め、さまざまな虚構と誤解が含まれています。富士の高嶺から、雲海の下、わが日本と周辺の国々を見渡せば、その来し方・行く末は一目瞭然。霊峰富士のごとく毅然、敢然、超然として立てば、視界も全開、隣国を含めて同時代の諸相に深く熱く切り込めるかもしれません。

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