戒厳令で韓国全土は血の海になった!?
韓国最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表は16日、自身のフェイスブックに「(尹錫悦大領が12月3日に発令した)戒厳令が施行されていたら拉致、拷問、殺害が日常の『コリアンキリングフィールド』が始まっていただろう」と書き込んだ。
キリングフィールドといえば、1970年代後半のカンボジアで毛沢東主義者のポル・ポトが、教師や知識人を中心に弾圧を加え、当時の人口の4人に1人にあたる200万人を処刑や飢餓などで集団虐殺したとされ、ポル・ポト時代のカンボジアは「キリングフィールド」<殺戮(さつりく)の大地>と呼ばれた。1984年にはそのカンボジアを描いた映画<The Killing Fields>も製作され、1985年のアカデミー賞助演男優賞や撮影賞を受賞し、この映画タイトルと共に大量虐殺の事実は世界に知れ渡った。
李在明氏はこうした、おぞましい集団虐殺を意味する言葉を使い、しかも『コリアン・キリングフィールド(韓国の殺戮の大地)』とも表現して、カンボジアで起きたことが韓国全土でも起きると主張したのである。
(李在明氏フェイスブック2月16日投稿文面)
彼のフェースブック(https://www.facebook.com/jaemyunglee)には「国民の抵抗と戒厳軍の武力鎮圧が拡大再生産され、5月の光州のように大韓民国全域が血の海になっただろう。戒厳軍と暴力団、外国人傭兵、偽りの北朝鮮軍によって、数百、数千、いや反国家勢力という烙印を押され、誰かの憎しみを買った数万の国民が、誰も知らないうちに最前線で、無人島で、海の上で死んでいったのだろう」とある。
<Wow!Korea2025/02/16「李在明共に民主党代表『戒厳が施行されていたら大韓民国全域が血の海になっていただろう』>
李在明氏がいうような「戒厳軍と暴力団、外国人傭兵、ニセの北朝鮮軍」のような人たちが実際に韓国にいて、無辜の民である一般国民が「誰かの憎しみを買う」という理由にもならない理由で理不尽に殺され、海の上に投げ棄てられるというような状況が、今の韓国には本当にあると、彼は思っているのだろうか?しかし、彼は説明責任(accountablity)がある政治家である。いい加減なことを無責任に吹聴できる無名の庶民とは違う。つまり、彼はキリングフィールドのような事態が起きると真剣に思っているからこそ、こうした主張を堂々と公にできるはずだ。
憲法裁判所で次々明らかになるフレームアップ(謀略)
しかし、いま行われている憲法裁判所の弾劾裁判で、尹大統領が主要な政治家15人前後の逮捕を命じたとされる国家情報院第1次長のメモについて、つじつまの合わない証言で、その欺瞞性が次々に明らかになり、「国会本会場のドアを斧で壊して中にいる国会議員を引きずり出せ」と命じられたという特殊戦司令官の証言は、事前に野党議員と打ち合わせをし、何度もリハーサルまでさせられた上ての証言だったことが、与党「国民の力」のソン・イルジョン国防委員長の調査で明らかになっている。
つまり、今回の非常戒厳による尹大統領の弾劾訴追と内乱首謀罪の起訴は、野党「共に民主党」の一部議員が軍幹部や国家情報院次長らを籠絡(ろうらく)誘導し、「逮捕者指示メモ」を捏造し、検察や法廷での虚偽証言まで工作した完全なフレームアップ(でっち上げ)、「謀略」劇であることが濃厚になっている。
それにもかかわらず、李在明氏は同じフェイスブックの中で「(与党)国民の力は『コリアン·キリング·フィールド』を企画し、軍事クーデターを起こした1号党員、尹錫悦を懲戒どころか擁護している」。「集団虐殺を企画した『尹錫悦』内乱勢力」。「国民尊重どころか、国民虐殺を擁護する国民の力」などと罵倒し、今回の非常戒厳を「軍事クーデター」だとフレームアップし、「国民の集団虐殺を企画した」と断言する。国会や中央選挙管理委員会に動員したわずか600人たらずの兵員で、「軍事クーデター」を起こせるとはとうてい思えないし、「集団虐殺」に至っては、その計画や手段について具体的な証拠を提示すべきで、提示できなかったとしたら、政治家としてその責任をとり、「虚偽煽動」の罪に問われて当然というべきだ。
自分に敵対する国民は「人間ではなく悪魔だ」
さらに驚くべきは、李在明氏はそのフェイスブックの中で、尹大統領弾劾反対デモに集まった市民を「人間ではなく悪魔だ」と罵ったことである。フェイズブックに投稿した前日の2月15日に光州市で開かれた尹大統領弾劾反対集会には3万人とも5万人ともいわれる市民が集結したが、これについて李在明氏は「全斗煥の不法戒厳令で戒厳軍の銃刀に数千人が死亡し、負傷した光州を訪れ、不法戒厳擁護デモを行う彼らは果たして“人”なのか?無念に殺された被害者の商店街で殺人者を擁護して乱暴を働く“悪魔”と何が違うのか?」と罵倒した。
(2月15日光州市での尹大統領弾劾反対デモ)
光州市は、言うまでもなく1980年5月の「5・18光州事件」の地で、集会が行われた光州市東区の錦南路は、当時、戒厳軍と市民が対峙し、多数の死傷者が出た現場だった。一方、弾劾反対デモと同じ時間帯に近くの「5・18民主広場」では弾劾賛成派のデモも行われていたが、こちらの参加人数は3分の1程度だったといわれる。
<李真実チャンネル「2月15日(土)韓国光州市で大統領弾劾を巡る集会について、支持者と反対者の集会規模と演説内容などを比較。勝負は・・・。」>
李在明氏の支持率は最新の世論調査結果(リアルメーター17日発表)では、43.3%で、圧倒的な支持率を誇る。
<聯合ニュース「次期大統領候補の支持率 李在明氏が43.3%・金文洙氏18.1%」>
しかし、李在明氏は自分を支持せず、反対を表明する人々は「人間ではない、悪魔だ」と罵(ののし)り、また敵対する与党勢力に対しては、具体的な根拠も示さず「国民虐殺」を企画し擁護する勢力、と断じて恥じない人物でもある。
尹大統領や与党「国民の力」が韓国を「キリングフィールド」にする勢力だという李在明氏の言葉をそのまま信じ、それに反発を示すこともない支持者が、仮にこの43.3%の中にいるとしたら、それこそ韓国は他国の常識では考えられない“呪われた国”だと思うしかない。
韓国に実際あった「キリングフィールド」の現代史
ところで、「コリアン・キリングフィールド」について、これを現実にはあり得ないことと言って済ますにはいかない歴史が韓国にはあることを指摘しなければならない。それは「済州島4.3事件」であり、朝鮮戦争当時の「堅壁清野(けんぺきせいや)」と呼ばれる作戦であり、「国民保導連盟」と呼ばれる民間人の大量虐殺事件のことだ。
「済州島4.3事件」は、李承晩政権が進めた38度線南側だけの単独選挙に反対して南朝鮮労働党の左派勢力が島民らを煽動して1948年4月3日に起した騒乱事件で、朝鮮戦争を挟んで1954年9月まで島民の虐殺事件が続き、NEWSWEEK誌によると、政府軍・警察の粛正によって島民の5人に1人に当たる6万人が虐殺され、済州島の村々の70%が焼き尽くされたといわれる。
また「堅壁清野(けんぺきせいや)作戦」とは、朝鮮戦争当時、韓国軍は共産主義ゲリラ討伐のための徹底的な焦土化作戦を行ない、「堅壁清野」とは「必ず確保すべき戦略拠点は壁を築くように堅固に確保し、やむを得ず放棄する地域は人員と物資を清掃し、敵が留まることが出来ないよう野原にする」という意味だった。
さらに、少なくとも60万人から最大120万人の民間人が虐殺されたとされる「保導連盟事件」は、朝鮮戦争の最中、韓国軍、警察、李承晩大統領支持者らが共産主義からの転向者やその家族を再教育するためとして設立した「国民保導連盟」のメンバーなど民間人を大量虐殺した事件である。
<詳しくは当ブログ記事2022.01.12「朝鮮戦争前後の民間人虐殺事件をどう釈明するのか」>
つまり、李在明氏の「キリングフィールド」の言い分は、韓国では過去に例がなかったわけではないことを物語っている。ところで韓国人が必ず言いたがることなので、念のために記しておくが、それは決して日本統治時代のことではなく、日本統治時代に「キリングフィールド」の記録はどこにも見当らず、「慰安婦の集団虐殺」など夢に見るおとぎ話の類いに過ぎない。
<当ブログ2017.01.31「『慰安婦の集団虐殺』とは何のことだ?」参照>
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