醜いゴタゴタのあと、大ドンデン返しで決まった保守系統一候補
韓国大統領選挙に向けた保守系政党「国民の力」の統一候補選びは、二転三転した結果、金文洙(キム・ムンス)前雇用労働部長官を党公認候補とすることで決着した。革新左派の李在明(イ・ジェミョン)候補に勝つためには、金文洙氏より人気があり中道・無派閥の有権者も取り込めるとして、前国務総理の韓悳洙(ハン・ドクス)氏を担ぎ出そうと画策した「国民の力」の執行部の思惑は完全に外れた。
しかし、この間に見せた保守系内部のゴタゴタは、選挙戦にとって有利に働くとは思えず、金文洙氏を一度は公認候補として選出しながら、立候補締め切り直前に候補指名から外し、ふたたび党員投票を行って金文洙氏の候補復活を決めるという大どんでん返しを見た多くの有権者は、このような政党に政権を任せて大丈夫かと思ったに違いない。
まあ、しかし、過去の大統領選挙を見ても韓国では候補者の一本化をめぐる政党のゴタゴタはいつものことで、むしろ従北左派勢力「共に民主党」の予備選で、李在明氏が最終得票率90%を獲得して公認候補となったことのほうが、中国や北朝鮮の全体主義国家とまったく同じ体質の異様さを示し、こちらのほうがはるかに不気味に感じる。
ところで、こうした保守系候補が選出され、立候補の届け出を行ったのを見て、弾劾裁判で罷免された前大統領の尹錫悦(ユン・ソンニョル)氏は11日、「国民の皆様への訴え」と題し、フェイスブックに以下のような投稿を行った。
윤석열 - < 국민께 드리는 호소 > 존경하는 국민 여러분, 자유를 사랑하는 동지 여러분, 그리고 해외... | Facebook
<尊敬する国民の皆様、自由を愛する同志の皆様、そして海外同胞の皆さん。
今この瞬間、大韓民国は再び選択の岐路に立たされています。 果たして私たちが自由と法治の道を守ることができるのか、それとも無責任な扇動と無秩序に国家の命運を譲るのか、という問いかけを前にして、私たちは決断しなければなりません。
今回の「国民の力」の大統領候補選びは激しい論争と陣痛がありましたが、それでもなお健全であることを示しました
金文洙(キム・ムンス)候補が最終候補に選出されたこの瞬間、私は競争を繰り広げたすべての候補の方々にも心から敬意を表します。
また、韓悳洙(ハン・ドクス)前首相が出馬宣言当時に明らかにした「自由民主主義と国家の繁栄のための使命」は、今や金文洙候補とともに続けていかなければならない使命となっています。私は韓前首相がその道で最後まで一緒にしてくれると信じています。
そして、他の候補を支持されたすべての国民の皆様に訴えます。これからは心を一つにしてください。金文洙(キム·ムンス)候補を支持した方々も、この過程を謙虚に受け止め、互いに手を取り合わなければなりません。私たちの戦いは内部ではなく、自由を脅かす外部の全体主義の挑戦に立ち向かう戦いです。
私は弾劾という激しい政治の渦の中に置かれましたが、党にはいつも感謝していました。一度も党を恨んだことはありません。政党は国民の意思を込める器だからです。私は任期を全うできずに退きましたが、私の心は依然として国家と党と国民にあります。私は最後までこの国の自由民主主義を守る道を皆さんと共にします。
今回の6.3大統領選挙は単なる政権交代の問題ではありません。自由大韓民国の体制を守るか、崩すか、その生死の岐路に立つ選挙です。私は国民の皆様にはっきり申し上げます。もう私たちは団結しなければなりません。
金文洙候補が提示する「原則を守る政治」は、自由民主主義の本質を示すものです。
これは今の巨大野党の全体主義的行動とは根本的に違います。この違いが大韓民国の未来を分けます。
国民の皆様、特に自由を愛する若者世代の皆様、もう一度ご覧ください。去年の冬、弾劾政局で互いに手を取り合って一つになり、ついに崩れなかったその勇気、その信念を再び引き出してください。もう一度立ち上がってください。もう一度叫んでください。
私たちの反対側の勢力は強力です。しかし、私たちがお互いを信じて団結すれば、決して私たちを倒すことはできません。今回の選挙で私たちは必ず勝利しなければならず、勝利することができます。
自由が崩れたところには、経済も未来もありません。体制が崩れると、すべては砂の上の楼閣になります。
2030青年世代と未来世代が生きていく、誇らしいわが自由大韓民国を、私たちは守り抜かなければなりません。
私、尹錫悦は最後まで皆さんと一緒に行動します。皆様一人一人もこの国の真の主権者として共に行動してくださることを固く信じています。私たちは必ず勝利します。
ありがとうございます。
2025年5月11日 尹錫悦 謹呈 >
李在明側はすでに勝利を確信か
一方の李在明氏だが、国民の力の候補に金文洙氏が決まったことで、これでもう選挙に勝利したような余裕の表情が見られる。なぜなら、対立候補として戦うには、金文洙氏より韓悳洙氏のほうがはるかに手ごわく、金文洙氏が相手なら勝ったも同然と思っているからだ。
金文洙氏が国民の力の候補に最終的に決まったことについて、記者団からコメントを求められたのに対し、李在明氏は以下のように答えている。
<「あんなめちゃくちゃな形で候補を差し替えるなんて本来あり得ない話ですが、とはいえ、最終的にちゃんと候補が決まったというのはよかったと思う。しかし、一方で、「国民の力」はまず憲政破壊行為に同調したことに対して国民に謝罪すべきであり、内乱に同調した勢力「国民の力」が、内乱を擁護するような候補を立てて、どうやって国民の選択を受けられると思っているのか?私が思うに、「国民の力」や金文洙候補が一番最初にやるべきことは、「国民の力」の第1号党員である尹錫悦前大統領が国民に向かって銃を向けた内乱行為に対し、真摯に謝罪することだと思う。尹大統領が発表した金文洙候補を応援するメッセージを見たが、その前にまず国民に謝罪していたらどんなに良かったんだろうかと思わずにはいられない。>
(なぜなぜ韓国「ユン大統領のキム•ムンス公開支持を見た李在明の反応は?」)
非常戒厳を宣布した際、尹錫悦前大統領は、国民に銃を向ける行為など決して命令していなかったはずだが、李在明氏と「共に民主党」勢力は、今回の選挙戦を通じて尹大統領と保守勢力を「内乱首謀者」「内乱扇動者」として、国民に直接的に被害を与えた勢力として徹底的に糾弾する手はずであることは間違いない。さて12日から選挙戦が本格的に始まる。果たして、どういう論戦が繰り広げられるか、興味は尽きない。
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