平成から令和の時代へ、天皇のお代替わりに関する韓国メディアの報道ぶりは、レベルの低い日本理解の実態を露呈している。知能レベルとは言うまい、こんな知識レベルの新聞人が、分かったような口ぶりで堂々と日本を論じるのだ。それを読む韓国の読者のそれこそ日本理解の底が知れる。
5月2日付け東亜日報日本語版記事「日本の新天皇『世界の平和を切に希望』と初めて発言、『護憲』には触れず」は、「即位後朝見の儀」での新天皇の国民へのお言葉について、「上皇と違って明確に護憲の意思を明らかにしなかった」「平和憲法を守る意志が弱いという点で懸念する声もある」などと書いた。「護憲の意志」とか「護憲に触れず」とは何を言っているのかというと、今回の即位後朝見の儀で、今上陛下は「憲法に則り」と発言された。しかし、平成へのお代替わりでは、先帝陛下は即位時のお言葉で「憲法を遵守し」と発言した。このお言葉について一部のマスコミによって「憲法を守る」と読み変えられ、「天皇は護憲派だ」と韓国メディアを誤解させた。しかし、これこそ天皇の政治利用そのものだ。
そもそも、「即位後朝見の儀」は、国事行為として内閣の助言と承認の下で行われ、天皇のお言葉も当日の臨時閣議で決まったものだった。
当日のNHKニュースでも、「政府は1日の臨時閣議で・・・天皇陛下が即位後初めて述べられる国民へのおことばと、安倍総理大臣が国民の代表として行うあいさつも決定された」とはっきりと言っている。
それにも関わらず、東亜日報の前掲の記事では、<安倍氏は、天皇の即位のお言葉の直後、国民を代表して感謝の挨拶をし、「天皇から憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴として責務を果たすというお言葉があった」と言及した。儀式の前に天皇の発言内容を知っていたことを示唆する。>と書いた。よくもこんないい加減なことを書けたものだ。安倍総理は事前に知っていたどころか、天皇陛下のお言葉は自分が主宰する閣議で決めたのである。この記事が、東京に駐在する特派員(パク・ヒョンジュン、キム・ボムソク両記者)の署名入り記事だというからあきれる。この二人は、日本国憲法や天皇制度について勉強したことがないだけでなく、日本メディアの報じる内容さえ理解できない、レベルなのだ。
ところで、ソウルの東亜日報本社には朝日新聞ソウル支局が入居している。朝日も当日の臨時閣議で決まったもののなかに、天皇陛下のお言葉の内容も含まれることをしっかり伝えている。東亜日報は提携関係にある朝日の記事さえ読んでいないことが分かる。
東亜日報のこの記事は、結論部分で次のように書いている。
(引用)<安倍氏は、日本の右傾化の流れの中で改憲を強く推進している。特に、自衛隊の根拠を明確にする内容を憲法に加えようとしている。先月末、「美しい調和」を意味する「令和」の開幕を控え、国民的支持が高まると、再び改憲の意思を示した。韓日専門家たちは、上皇が安倍氏の軍国主義の歩みを牽制する発言をしたように、新天皇も同様の声を出すと予想した。>(引用終わり)
これを読めば、上皇陛下をあえて護憲派とすることで、今上天皇陛下に何を期待しているかは明らかだ。
もう一つ、左派系紙「ハンギョレ新聞」日本語版も「『平和憲法擁護者』の退位…新しい天皇は安倍の暴走を牽制するか」のなかで、「新たに即位する徳仁は1960年生まれだ(原文まま)」と呼び捨てにしたうえに、「しかし、(新天皇の)政治性向や憲法観はほとんど知られていない」とし「新しい天皇が父のように安倍首相の暴走を牽制する『見えない防波堤』になるのは難しいという見方が優勢だ」と書いた。ここでも日本国憲法における象徴天皇の意味をまったく理解せず、天皇を政治的な存在として、安倍総理の対立軸に置こうとしている。天皇と時の政権が対立するなどということが実際にあったとしたら、その時点で戦後日本が営々として積み上げてきた現行の天皇制度は崩壊し、頼まれてもいないのに韓国メディアが金科玉条のごとく褒めあげる平和憲法はその土台を失う。
そんなことも理解できないのが、文在寅政権を何が何でも支えるという左派系新聞であり、民主化勢力を代表すると自称するハンギョレ新聞なのだ。
そのハンギョレ新聞は、4月29日付けの「平成の30年…自信を失った日本“非寛容の社会”に変貌」と題する記事のなかで、またぞろ誰も頼んでもいないのに、平成の時代をわざわざ総括し、「経済の不振が続き、日本社会は内向的に変わった」「日本製品と文化の優秀性を強調する番組が流行し、『日本はすごい』と褒め称える番組が増えた。そうした流れをリードしている人物が、「日本を取り戻す」というスローガンを前面に出して2012年12月に再登場した安倍晋三首相だとし、安倍首相は再執権後、日本のアイデンティティを強調する愛国主義教育を強化したとした上で、次のように結論づけている。
<安倍政権に鋭い批判を向ける中野晃一上智大学教授は、ハンギョレとのインタビューで「日本の政治が過去の『利益(配分)』から『アイデンティティ』を強調する形に変わった」と診断した。それによって日本社会には『ヘイトスピーチ』に象徴される排外主義的ムードが拡散している。共同通信の先月の調査を見れば、日本人の57%が平成期を他者に対して「非寛容になった時代」と答えた。>
産経新聞の黒田勝弘特別論説委員に言わせると、韓国メディアの安倍嫌いはそれこそ「病的」といってもいいレベルだそうだが、安倍総理に批判的な論者を使うなら何でも言うことが出来る。しかし、それが日本の一般国民の平均的感情か、といえば、数々の選挙で示された民意とはかけ離れている。
最後にもう一つ、韓国経済新聞のコラム「幕上がる日本の『令和時代』」は、「隣に住む韓国人も首をかしげるほど日本は理解するのが簡単ではない国だ。『王が時間を支配する』という前近代的観念から始まった年号を継続する唯一の国という点からしてそうだ。英語で『emperor(皇帝)』と表記する唯一の対象も日本の天皇だ」と書いた。
論評するにも値しない貧弱な日本理解で、よくもまあ大上段に日本批判ができたものだ。そもそも元号について、われわれ日本人は「王が時間を支配する」などと考えたことは全くないし、支配されていると思ったこともない。自分たちの経験した範囲でしか想像力は及ばないというのは、ここでも当てはまる真実で、韓国人の日本の歴史をみる見方は、すべて自分たちの経験した奴隷制身分制度や絶対的な階級社会をそのまま日本にも押し付けた見方としか思えない。このコラムが指摘する日本の士農工商や武士階級内での身分差別というのがそれだ。商業経済や貨幣経済が成立せず、商店そのものが存在しなかった朝鮮半島では、大阪や江戸の商人が大名以上に財を蓄え、浮世絵や歌舞伎、読み物など庶民が高度な文化の創造者であり担い手であった江戸時代など、想像の彼方の別世界、異世界のことであろう。
「コラム」を書いた書き手の名前は分からないが、新聞社の人間がこの程度の日本認識しかないということは、一般国民のレベルも推して知るべしか。恐ろしい事態だ。
自分のことは棚に上げて、どちらが理解不能の国か、世界の人々に聞いてみたらいい。というよりも、他人の国に口出しするよりも、同じ民族である北朝鮮を含めて自分たちのことを早くどうにかしろといいたい。いまだに古代奴隷制専制国家の王朝体制を敷いているのはどこの民族なのか、国際社会の迷惑どころではない、早く消えてなくなれと呪詛する対象だ。
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