福島原発事故を日本対抗手段とする韓国

香港では学生や市民が、それこそ体を張って、自分たちの将来のために街に繰り出し、声を上げ、いつでも香港へ突入体制の中国武装部隊の脅威、警察の暴力や催涙ガスの仕打ちにもめげず、勇気を奮って立ち向かい、逃げないと悲痛な決意を固めている。8月30日、香港民主化運動を象徴する学生リーダー2人や民主派議員3人が逮捕・起訴され、その後、保釈された。全世界に発信された彼らの心の底からの命の叫び、逮捕されても戦い続けるという悲痛の叫びには、ほんとに涙が出てくる。

https://twitter.com/i/status/1167463485552439298

日本でも各地で、香港の人々を支援する街頭活動や集会が行われている。世界の目は、香港に注がれ、中国がこの事態にいかに対応するか、固唾を飲んで見守っている。

ところで、お隣り韓国は、そんな香港に関心が注がれることはあまりない。日本に比べると香港のニュースが大きく扱われることは少なく、まして香港の人たちのために声を上げようなどという人は見たことも聞いたこともない。韓国の人々とメディアの関心は相も変わらず、日本による半導体素材の輸出規制の問題であり、韓国を貿易管理上の優遇待遇国=ホワイト国からの除外の問題であり、街に繰り出して声を上げる人々の主張は「No アベ」やBoycott Japanなど、日本国民が選挙で選んだ正当な政権を罵詈雑言で罵倒し、日本製品の不買運動や日本への旅行拒否を訴えることである。

韓国の人たちは、安倍総理のことを朴槿恵前大統領と同じような権力者、独裁者と考えているのかもしれないが、日本の貿易管理や輸出規制などの細かい問題を安倍総理が一人で考え、独断で決定しているわけではないし、残念ながら、議院内閣制の日本は総理ひとりにそうした権限を与えているわけでもない。大衆の数の力で時の政権を引きずり下ろした「ろうそく集会」を、今度はソウルの日本大使館周辺で毎週土曜日に開き、「アベを糾弾する」、「アベは謝罪せよ」、「アベ政権打倒」などと連呼しているが、日本国民が選挙という正当な手段で選び、政権を担わせている一国のトップを、訳も分からぬ他国の市民が、辞任しろ、謝罪しろなどと要求するのはおこがましいにもほどがある。

それよりも、韓国政府の主張と韓国国民の世論で許せないのは、日本の貿易管理強化に対抗する手段として、すでに8年もの前の福島第1原発の放射能漏れ事故の問題を取り上げ、日本攻撃材料として使っていることだ。

福島第1原発事故による放射能汚染がいまだに日本を覆っているとして風評被害を煽り、今さらながら日本からの特定の輸入品目や農水産物、センメント材料として日本から輸入する火力発電所の焼却灰、廃プラスチック類に対する放射能検査を強化したほか、原発から出る汚染水を処理したあとに溜まった貯留タンクの水を海洋に放出させる計画があるといって勝手に難癖をつけ日本政府の説明を要求し、オリンピックのメインスタジアムとなる新国立競技場に福島産の木材が使われているだの、選手村の食事にも福島産の食材が使われるなどといって、東京五輪は危険だというイメージを世界に拡散する一方で、東京五輪をボイコットまでするつもりはないが、韓国選手団には自前の給食サービスを行うので、韓国から持ち込む食材については検疫を免除しろなどと、厚かましい要求まで日本に突きつける始末だ。はては、旭日旗をナチスの鉤十字と同列の「戦犯旗」だと勝手に言い募り、パラリンピックのメダルのデザインに文句を付け、会場への旭日旗の持ち込みを禁止しろとIOCに直談判をする始末だ。旭日旗の会場への持ち込みについて、9月2日JOCは、「日本では旭日旗は幅広く使われていて、拒否する理由はない」として韓国側の要求を突っぱねた。さあ韓国がどう出るか見物だが、仮に韓国が旭日旗を理由に東京オリンピックをボイコットすることになったら、旭日旗に対する韓国の偏見、勝手な思い込みで、日本を貶めるだけでなく世界の意匠・デザインの世界にも迷惑を振りまく、そんな彼らの不当な主張を世界に示し、決着をつけるいい機会になるかもしれない。

それにしても、以上の一連の韓国側の動き、主張は、いずれも日本の輸出管理強化が始まった以降のものであり、「難癖」や「言いがかり」という以上に、もはや輸出管理強化を契機にした日本に対する「嫌がらせ」以外の何ものでもない。

福島の被災地の人々を除けば、多くの日本人にとって日常生活で放射能汚染など意識することは、今はほとんどないと言っていい。まして、東日本大震災からの復興をテーマに、復興した姿を世界に見せたいと誘致した2020年オリンピックである。そうした日本国民の多くの願いに泥をかけ、理不尽な横槍を入れ、選手団は送るが、食事は自前で確保するので、食材は韓国から持ち込むので検疫は大目に見ろと言うに至っては、そこまで嫌なら無理してオリンピックに来ていただかなくても結構だ、どうぞボイコットしてください、と申しあげたい気持ちになる。それだけではない。科学的な根拠もなく放射能汚染問題を取り上げ、日本を貶めることだけを目的に、嫌がらせというしかない行為、活動を繰り広げる韓国の人たちを、日本の国民は決して忘れないし、これからも許すことはないだろう。そういう国民なのだと思って、隣人としての付き合いをやめるだけだ。

この間に、韓国の左派系新聞で、文在寅政権の支持層によって支えられるハンギョレ新聞が、とんでもない記事を掲載した。 

「緑色連合」という市民運動団体のソク・グァンフン専門委員と言う人物が寄稿した「広島、福島、そして東京オリンピック」(ハンギョレ新聞日本語版8月21日)と題された記事だ。

http://japan.hani.co.kr/arti/opinion/34157.html

まず広島の原爆について、どこから得た知識かは知らないが、「広島の原爆は当時粗悪だった核技術によって搭載された高濃縮ウラニウム64キロのうち、わずか約1キロだけが反応し、核分裂物質の発生量自体が少なかった」とし、その上で、「一方、福島事故は大量殺傷はなかったが、時間が経つほど放射能被害が増えている。炉心溶融が起きた原子力発電所の核燃料総量は、高濃縮ウラニウムに換算すれば約12トンに及び、広島の原爆の核分裂反応ウラニウムの1万2千倍の量だ。一時日本政府は、福島で排出されたセシウムが広島の原爆の168倍と発表したが、それも単純な排出量の差であり、高空で地球全域に拡散して残った広島の落塵と地表面で排出された福島の落塵の差は比較にならないほど大きい」と書く。

ばかをいうのもいい加減にしろ、と言いたい。福島第1原発の事故は決して原爆の地上爆発ではない。核燃料の多くは水槽プールに原型のまま残っていて無傷であったほか、原子炉圧力容器の中にあった燃料は、炉心溶融で圧力容器の外に一部が漏れ出たとしても、格納容器内に留まっていた。広島型原爆に搭載されたウランの量と福島第1原発が当時保管していた核燃料の総量だけをただ単純に比較して、放射能汚染の規模を論じるのは、科学的にも論理的にも成立しないのは明らかだ。

それにも関わらず、この寄稿記事は、「希少疾患の小児甲状腺がんは、事故以前はわずか1~2件だったが、事故後には217件に急増した。しかし、安倍政権は医師たちの調査を妨害し、政府の統制を受ける福島関連各種調査委員会を通じて詭弁を並べ立て、マスコミ報道を統制している」とし、結論部分では、「福島水産物に関し世界貿易機関(WTO)訴訟と勝利を経験した韓国こそ、東京五輪の放射能問題を世界に知らせる適任者だろう」と主張する。

ここに至って、この寄稿記事の意図は明らかだ。つまりは、東京オリンピックをただ単に妨害することが目的であり、日本を貶めるためには、科学的な根拠も論理もどうでもいいのである。こんな与太記事を、何の検証も校閲もなく載せるハンギョレ新聞の知能の低さと底意地の悪さがよく分かる。


「日韓軍事情報包括保護協定」GSOMIAの廃棄を訴えるプラカード

富士の高嶺から見渡せば

大学で中国語を専攻して以来、半世紀にわたって中国・香港・台湾を見続け、朝鮮半島にも関心を持ち続けてきました。これらの国との関係は過去の歴史を含め、さまざまな虚構と誤解が含まれています。富士の高嶺から、雲海の下、わが日本と周辺の国々を見渡せば、その来し方・行く末は一目瞭然。霊峰富士のごとく毅然、敢然、超然として立てば、視界も全開、隣国を含めて同時代の諸相に深く熱く切り込めるかもしれません。

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