韓国は完全な民主主義国家で、米国は2等国家だと、正気か?

韓国の与党「共に民主党」で党代表を務める宋永吉(ソン・ヨンギル)という議員は、「韓国は『完全な民主主義国家』だと評価されるが、米国とフランスは『欠陥がある民主主義国家』として2等級の判定を受けた」と豪語したという。「韓国が完全な民主主義国家」とは聞いて呆れる。ちゃんちゃらおかしくて「へそが茶をわかす」とはこのことだ。ついでながら、同じことを英語ではIt would make a horse laugh(馬も笑ってしまう)というが、韓国では「ゆでた牛の頭も天を仰いで大笑い」するという。あまりにも厚かましい、という意味だ。

脱北者団体が北朝鮮に向けて体制批判のビラを載せて風船を飛ばす行為を禁止した「対北ビラ散布禁止法」について、米国下院が4月15日に公聴会を開いて、表現の自由を侵害していると批判したことについて、宋永吉代表は「越権行為だ」と米国を批判したが、そのなかで「韓国は完全な民主主義国家」だという発言が飛び出した。

その一方で、宋代表は、米国でも、トランプ前大統領のツイッターアカウントが暴力を扇動した疑いがあるとして廃止されたことに言及し、「米連邦最高裁判所でも明白な危険が存在する場合、表現の自由を制限することができるという判決が出ている」とし、「表現の自由」を大義名分として、いまだ戦争状態にある朝鮮半島の中で、緊張を高める「心理戦の一種」でもある対北朝鮮ビラの禁止を批判するのは、矛盾だと指摘した。

<中央日報5/19「韓国与党代表、文大統領の訪米前日「米国民主主義は2等級」

しかし、朝鮮半島の緊張を高めるというが、北朝鮮住民の「真実を知る権利」を剥奪し、生存の自由が脅かされている現実には目をつむり、独裁者・金正恩や金与正の意向にしか目を向けないのが、文在寅を支える与党「従北左派勢力」なのである。

こうした「従北左派」の考えを端的に示すのが、文在寅政権当初に大統領外交安保特別補佐官を務めていた文正仁(ムン・ジョンイン)世宗研究所理事長だ。彼は最近も「北朝鮮に人権問題を持ち出せば、これを敵対政策と見なし、北朝鮮は核を放棄しにくくなる」と発言し、「人権を外交政策の中心に置く」とするバイデン政権の人権外交を真っ向から非難した。

北朝鮮は、米朝交渉が破綻したハノイでの米朝首脳会談以降、核兵器の放棄は完全に拒否しているにもかかわらず、文正仁は最近もハンギョレ新聞への寄稿のなかで、「金正恩(キム・ジョンウン)は2018年9月に核兵器と核の脅威のない平和の地を作っていくと確約した」とし、北朝鮮は「条件さえ合えば非核化に応じる」という立場を貫いてきたと主張する。こうした北朝鮮擁護の立場は文在寅の立ち位置と完全に一致する。

ハンギョレ新聞5/17「寄稿・北朝鮮核問題をめぐる誤った前提、それに基づく危険な発想」> 

文正仁は、米中対立が激しくなる中で、韓国の外交的な立場について、中国包囲網をつくる米国との同盟に与することはできないとして、米中間の綱渡り外交はしないとする一方で、中国や北朝鮮の側にしか顔を向けていないのだ。バイデン政権は、米国を「第2級の民主主義国」だと蔑む韓国を相手に、北朝鮮核問題の解決を追求し、韓国防衛という同盟国の責任を果たさなければならないのである。

Wow!Korea3/24「韓国の元統一外交安保特別補佐官「米中間の“綱渡り外交”せず、“中堅国と超越的外交”をすべき」>

「完全な民主主義国」だという韓国の、その政権を担う与党議員が最近発議した「歴史歪曲防止法」には度肝を抜かれた。一言で言って時代錯誤もはなはだしい。時の政権が過去の歴史をすべて規定し、自由な論争を許さないという前近代的な権威主義、独裁主義の立法といっていい。

その法案によると、3・1独立運動と上海臨時政府(1919年)、それに4・19民主化運動(1960年)など、日本帝国主義に抵抗した独立運動に関する事実を歪曲したり、歪曲に同調したりする行為を禁じている。とりわけ日本帝国主義の象徴だとする旭日旗やそれに類似する造形物を使用する行為に対しては最大10年の懲役刑または2億ウォン(約1920万円)以下の罰金刑を科すと規定している。

すでにこの文在寅政権下では、1980年5月に発生した広州市民の武装蜂起とそれに対する戒厳軍の武力鎮圧事件について、北朝鮮ゲリラ部隊による扇動があったという見方もあるなかで、歴代左派政権は「民主化運動」だったと規定し、それ以外の見方を示したり自由に議論することを禁じる「5・18民主化運動特別法改正案」を与党の数の力で強行採決で可決した。セウォル号沈没事件に関しては、事故原因の真相を究明するとして検察や政府の特別調査委員会、最高検察庁特別捜査団など、事故から7年間で合わせて8回にわたって刑事捜査や原因調査を行なってきた。しかし、それでもなお朴槿恵前政権の責任追及が行なわれていないとして特別検事による9回目の捜査が行なわれている。それだけではなく、与党議員は「4・16セウォル号歪曲禁止法」まで発議して、異議や雑音を抑えるのに必死だったが、この法案に関してはさすがに与党内部でも反対が多く廃案になっている。

KBSニュース5/13「セウォル号特別検事」が捜査スタート 事故から7年、9回目の捜査」

今回の「歴史歪曲防止法」も、そうした異論、異議申し立てを力で押さえつけ、自分たちの陣営の考えに沿った歴史観を国民全体に押しつけようというものである。

中央日報でさえ「社説」で「論争が多い近現代史であるほど歴史の解釈に十分な余地を残すのが正しい。何よりも歴史研究と叙述は専門家に任せなければいけない。権力を握った当代の政治家が歴史を都合よく裁断しようとすれば信頼を失う。与党議員は時代錯誤的な法案を直ちに撤回すべきだ。」と批判する

中央日報5/18「社説:時代錯誤的な「歴史歪曲防止法」は撤回すべき」

それにしても、こんな法律を作ろうという国会議員を抱える国のどこが「完全な民主主義国」なのか。

日韓の間に立ち、Youtube動画を通して韓国情報を発信している韓国の人たちは、ついに自分も刑務所行きかと、いま戦々恐々としている。日韓の歴史問題で真実を伝えようと思ったら、韓国側がいう歴史の「歪曲」に踏み込まざるをえないからだ。

Youtube動画キムチわさびチャンネル5/17「刑務所に行ってきます」

文在寅政権になって、民主主義に反する政策や謀りごとは枚挙にいとまがない。

検察改革と称して実行した「高位公職者犯罪捜査処」や「十大事件捜査処」の設置は、検察からすべての捜査権を奪い、文在寅政権が犯した不正腐敗の追求から逃れるための手段であることが明らかになった。青瓦台スタッフが総掛かりで支援・介入した蔚山市長選挙の不正事件は捜査がとまっている。慰安婦支援団体の正議連(旧挺対協)前理事長で現在、与党の国会議員である尹美香に対する寄付金の横領や公金詐取事件も、一向に捜査が進んでいない。自分たちに都合の悪い不正捜査は、担当検事を地方に左遷して捜査チームを解体し、法務部長官が何度も指揮権を発動して阻止し、法務部長官の力では罷免できなかった検事総長は、その職務を奪うことでついに辞任に追いやっている。

その前検事総長・尹錫悦氏が、反文在寅側の闘士として、野党の大統領候補として知名度が高まると、その祖父の墓が破壊され汚物を蒔かれるという被害があった。先祖の墓を毀損すれば一族の命脈を絶ちきることができるという、まさに古代シャーマニズムに基づく考え方が未だに支配する社会で、「完全な民主主義」などという概念が通用するのだろうか?

朝鮮日報5/20「尹錫悦氏の祖父の墓に包丁・護符…写真公開できないほど不快」>

住宅都市開発公社の職員が、自らが担当する新都市開発計画という未公開情報を利用して、開発予定地の土地を事前に買い占め、莫大な利益を得ようと画策する国である。ソウル市長や釜山市長という地位にある政治家が、自分の近くで働く女性に対して、その人権を無視するセクハラ行為を平気で行なう国である。韓国人が自慢する「完全な民主主義国」とは、韓国人にとって何とも都合のいい韓国特有の政治状況であることか。

米国も日本も、こんな国とはまっとうに付き合ってはいけない。

富士の高嶺から見渡せば

大学で中国語を専攻して以来、半世紀にわたって中国・香港・台湾を見続け、朝鮮半島にも関心を持ち続けてきました。これらの国との関係は過去の歴史を含め、さまざまな虚構と誤解が含まれています。富士の高嶺から、雲海の下、わが日本と周辺の国々を見渡せば、その来し方・行く末は一目瞭然。霊峰富士のごとく毅然、敢然、超然として立てば、視界も全開、隣国を含めて同時代の諸相に深く熱く切り込めるかもしれません。

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