戒厳令は不正選挙疑惑に国民監視の目を向かわせるため

前回のブログでは、韓国製の電子開票機がなぜか、中国の「一帯一路」対象国に輸出され、それらの国々では不正選挙をめぐって多くの混乱や暴動が起きていること。そして国政選挙など実施したことがない一党独裁の共産中国から多数の中国人たちが韓国にやって来て、韓国中央選挙管理委員会が主導してつくった「世界選挙機関協議会 A-WEB」という国際組織の傘下にある選挙研修院で、選挙運営のノウハウに関する研修を受けているという不思議!?について触れた。

民主主義の根幹をなす「選挙」などとは、まったく無縁で、むしろ選挙を否定する非民主的独裁体制の中国が、なぜ韓国と手を組んで開発途上国の選挙にかかわろうとするのか、そこには臭気芬々、何か良からぬことを企んでいるという胡散臭さしか感じない。さらには、それらの国々に輸出された韓国製の電子開票機をはじめ、選挙人名簿や投票用紙の管理など韓国の選挙システム自体が本国・韓国においてさえ、まったく信頼を置くに値しないという不正の実態があることを、今回はまとめてみることにする。

公正で透明な選挙は民主主義の核心であり、国民が選挙制度を信頼し、選挙結果をまともに受け入れなければ、民主主義は機能しない。しかし、韓国の中央選挙管理委員会は内部の選挙システムについて、自ら独立した憲法機関であることを理由に、監査院や国家情報院による公開的かつ全面的な点検を拒否し、不正選挙に対する国民の疑惑に正面から答えてこなかった。

尹大統領は、不正選挙の疑惑を解消することが、今回の戒厳令を宣布した理由の一つだとしているが、それは国会や野党に警告するためではなく、「主権者である国民に訴えて厳正な批判と監視をして欲しい」と国民の目を引き寄せることが狙いだったとしている。

若者の間では「戒厳令」は「啓蒙令」だったという言い方が広まる

尹大統領は弾劾裁判の法廷で次のように述べている。

「(野党は)不正選挙の疑惑は“陰謀論”だといい、戒厳を正当化するために事後に作った論理だというが、その主張は理解できない。戒厳令を宣布する前から、選挙の公正性や信頼性には多くの疑問が出ていて、2023年に国家情報院が選挙管理委員会の電算システムのごく一部を点検した結果、問題がたくさんあることが分かった。そのため(選管委に軍を投入したのは)不正選挙そのものを探し出せ、というのではなく、選管委の電算システムはどんな装備・システムによって稼働するのかを確認するためでした。私は選挙がすべて不正であるから信じられないという“陰謀論”を提示したのではない。ファクトを確認するために行ったと理解していただければ幸いです。」(1月21日・第3回弁論での発言)

戒厳宣言の理由は野党に対する警告ではありません。主権者である国民に訴えて厳正な批判と監視をして欲しいということです。野党に対する警告などしてもムダです。野党に対して警告するためなら、非常戒厳をする理由もありません。主権者である国民のためにしたことです。」(1月23日・第4回弁論での発言)

このことから尹大統領支持派の人達から「戒厳令」は「啓蒙令」であったという言い方がされるようになっている。選挙に対する不正疑惑が「陰謀論」であり、「フェークニュース」だというのなら、憲法裁判所の弾劾裁判で尹大統領の弁護団が挙証した不正選挙の疑惑の数々について、中央選挙管理委員会が答弁に立ち、その一つ一つに対して真正面から反論し、それを憲法裁判所が公正に審判すれば済む話である。


弾劾裁判で弁護団が示した中央選管の数々の疑惑

以下の内容はすべて、弾劾裁判の法廷で尹大統領の弁護団が陳述した内容であり、法廷映像としてその一部始終が公開されている。今回もその法廷映像を使い、ユーチューブチャンネル「なぜなぜ韓国」が弁論の重要部分を日本語訳してくれた字幕を参照させてもらった。翻訳の原典に当たりたい人は以下のYouTubeをご参照ください。

なぜなぜ韓国「ユン大統領の弁護団の弾劾二次弁論で語った内容」

なぜなぜ韓国 「ついに韓国全国民が知った不正選挙と戒厳の真実の始まり」

1 統合選挙人名簿管理システムの不備と投開票データの操作可能性の発見(乙第1号証の1号)

政府機関への北朝鮮によるハッキング攻撃を受けて、国家情報院が全国一斉点検を実施し、2023年10月にその点検結果を発表した。それによると、中央選管の選挙管理システムのうち5%だけを点検したところ、そのセキュリティは外部からの攻撃に非常に脆弱で、誰でもハッキングして、投開票データに対する全般的な操作が可能だということが分かったと(大統領に)報告された。有権者登録現況・投票の有無などを管理する統合選挙人名簿システムには、インターネットを通じて選管の内部ネットワークに浸透できる抜け穴が存在し、接続権限及びアカウント管理も不良で、ハッキングが可能であることが確認された。これにより事前投票した人員を投票していないと表示したり、事前投票していない人員を投票したとして表示したり、存在しない幽霊有権者も正常な有権者として登録するなど、選挙人名簿の内容を変更することができた。

2 事前投票所の投票用紙管理とセキュリティ管理の杜撰さ

事前投票所の投票用紙分類機と投票結果が保存される投開票システムのセキュリティ管理体制が不十分で、USBなどの外部機器を接続してハッキングプログラムをインストールできるほか、事前投票所に設置された通信設備に事前認可された装備ではなく、外部の非認可PCも接続でき、内部選挙ネットワークに浸透可能で、無線通信機器を接続して投票用紙分類機の結果を変更することができると確認された。またコンピュータシステムのパスワードは「12345」という単純な数字で、まるで中国や北朝鮮のハッカーに侵入しろと言っているように見えた。

3 不正投票用紙の発見(乙第3号証の19 投票用紙の束の写真)

2020年4月15日の第21代国会議員選挙で民主党が国会の過半数を獲得した。選挙当日の投票数では勝利したものの、事前投票の投票数では敗北した(保守派の)候補者たちは選挙不正を主張し、120件もの選挙無効訴訟が起した。そして、その検証過程で発見されたのが多くの異常な投票用紙だった。投票用紙の束が、印刷所から届いた直後のように綺麗に揃っていて、一度も人の手に触れたり折り曲げたりしたことがないように見える投票用紙の束があちこちで見つかった。選挙管理委員会は折り曲げても元に戻る「原状回復用紙」(あるいは形状記憶用紙)だといっているが、木材紙化学の専門家はそんな紙は存在しないとし、もしそうした紙が発明されていればノーベル賞級の発明だと証言している。選管は「原状回復用紙」の存在についてホームページにアップしてPRしていたが、非常戒厳以降はその部分を削除している。

4 事前投票用紙の無断印刷が可能

選管委の内部システムに浸透して、事前投票用紙に押印される「廳印」(選管の本庁印)と「私印」(各投票所の管理官印?)の画像データを窃取して、実際の事前投票用紙と同じ投票用紙を製作することができた。事前投票用紙のテスト用出力プログラムも厳しく使用制御されず、実際の事前投票用紙とQRコードが同じ投票用紙を無断で印刷できることを確認した。また投票用紙に押印する投票管理官の印が判別不能で、ある投票所では1974票の当日投票のうち294票は印鑑の文字が識別できず、無効票として処理されたケースもあった。

5 セキュリティ管理会社と機器製造メーカーへの疑問

国家の命運を決定する選挙のセキュリティ管理を行う会社が、ごく小規模の専門性を欠いた会社であり、また選挙設備機器メーカーは北朝鮮に800万ドルの不法送金を行った主体である下着メーカー「サンバンウル・グループ」の系列会社だった。(サンバンウルとは、京畿道知事だった李在明氏(現在の共に民主党代表)が大統領選出馬を前に実績造りのため北朝鮮訪問を画策し、そのための工作資金や投資事業費として国連の制裁決議に反して800万ドルを北朝鮮に不法に送金したとして、キム・ソンテ元会長が政治資金規正法や賄賂供与などで起訴され、一審で懲役2年6カ月を判決を受けているもので、共に民主党の李在明代表や北朝鮮との関係が深い)。その企業グループが系列会社を通じて選挙機器を製造していたことについて、尹大統領は非常に疑念を抱いている。

朝鮮日報24/07/13「サンバンウル元会長も懲役刑…「李在明・共に民主前代表の訪朝費用代納」再認定 対北不正送金事件」

6 監査院と国家情報院の点検調査結果

選挙管理委員会の手続き規定違反は過去10年間で1200件にのぼる。中央で400件、地方が800件で、そのほとんどがキャリア採用をめぐる不正人事に関するものだった。その採用事例を調査した結果、親族による世襲採用が100%を占め、父親が選管に務めていれば、子供たちはみな採用されるという大規模な事態で、調査した監査院は、このような国家機関は初めて見たと嘆息したほどだという。2020年4月15日の第21代国会議員選挙で選挙無効訴訟が相次いだが、最高裁判所は選挙不正を認めることはできないと判決した。中央選挙管理委員会は自らが独立した憲法機関だと言い張り、選挙不正の疑惑調査を拒否したが、選管の大規模な不法採用事件が発覚した後、選管側は一歩引いて、国家情報院の点検を受けた。しかし、国家情報員がごく一部を点検しただけでも、想像を超える疑惑だらけの結果が確認されたが、しかしその後も、サーバーの提出や要求には一切応じていない。地方の選管を含め、選管の委員は多くが裁判所の判事によって占められ、司法カルテルと選管が一体になっている構造がある。つまり、裁判に訴えても選管の不正を糾すのは困難だというのが実態。

不正選挙の真相を解明しないかぎり次の選挙の信頼は回復しない

以上は、憲法裁判所の法廷で示された韓国の選挙管理委員会とその選挙管理システムの実態であり、選管があたかも特定の政治勢力のもとで、無敵な国家機関として、どこからも干渉を受けず、その権力を行使している実態が浮かび上がる。選挙という自由民主主義の根幹を担う選挙管理委員会がこうした体たらくにあるということは、韓国の民主主義の基盤は相当危うい、ということを示している。そして仮に、次の大統領選挙が行われたとしても不正選挙の真相が究明されないまま行われた選挙の結果には、国民の信頼が得られず、左右対立という政治的分断による混乱は収まらないということになる。果たしてそれでいいのか、韓国国民自身が不正選挙と選挙管理委員会の実態に真剣に向き合い、結論を出す時期にきている。

富士の高嶺から見渡せば

大学で中国語を専攻して以来、半世紀にわたって中国・香港・台湾を見続け、朝鮮半島にも関心を持ち続けてきました。これらの国との関係は過去の歴史を含め、さまざまな虚構と誤解が含まれています。富士の高嶺から、雲海の下、わが日本と周辺の国々を見渡せば、その来し方・行く末は一目瞭然。霊峰富士のごとく毅然、敢然、超然として立てば、視界も全開、隣国を含めて同時代の諸相に深く熱く切り込めるかもしれません。

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