米国が韓国を「センシティブ国」に指定
韓国では今、米エネルギー省が韓国を原子力やAI人工知能などの先端技術協力で交流が制限される「センシティブ国」リストに韓国を加えたとして、大騒ぎになっている。しかも、このリストに韓国を加えたのは今年1月初め、バイデン政権退陣の直前で、韓国外交部はじめ政府当事者はそれから2ヶ月間、米国政府が公式に確認するまで誰もその存在に気づいていなかった。
米国政府が原子力と人工知能(AI)など先端技術協力が制限される、波紋が広がっている。同盟国である韓国に対する米国のセンシティブ国指定には、尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権発足後、韓国保守陣営に広がった「核武装論」と尹大統領の12・3非常戒厳宣言が決定的な影響を及ぼしたものとみられる。
「センシティブ国」の指定は、安全保障や核拡散防止に関する懸念、地域の不安定性やテロ支援などを理由に、特別な考慮が必要な国として指定し、米エネルギー省情報・防諜局(OICI)や米国家核安全保障局(NNSA)などがリストを管理している。
その「センシティブ国」には3段階の区分があり、北朝鮮、イラン、キューバは「テロ支援国」、中国、ロシアは「脅威のある国」、そして今回新たに指定された韓国はイスラエルや台湾などと共に「その他指定国」に分類された。韓国は、いわばライバル国扱いだという見方もある。これによって、米国との軍事機密情報の共有や原子力、AI(人工知能)分野の先端技術協力が制限される可能性もある。
<朝鮮日報3月17日「韓国がリスト入りした「センシティブ国」、対象は主に米国の敵性国…最近はライバル国も指定」>
例えば、センシティブ国出身の研究者たちは、米エネルギー省所属の研究所と研究プログラム、情報にアプローチするためには特別承認を受けなければならず、「訪問と協力には事前に内部検討が必要」される。また「個人目的であれ出張であれ、韓国に行く時は研究所に事前報告をしなければならず、パソコンなども持って行けなくなるため、米国国立研究所所属の研究員たちは韓国で開催される学会への参加が難しくなる」という。
今回センシティブ国に指定された理由を米国は明らかにしていないが、韓国によるチェコへの原発輸出に関して、米原子力企業が「自社の源泉技術が盗用された」として知財権紛争が起き、韓国企業を通じて米国の原発技術が流出する懸念が強まったことや、韓国の政治情勢が非常戒厳や弾劾訴追で不安定になっている状況で、韓国国内では保守系議員を中心に独自の核武装論が取り沙汰されていることを、米国がセンシティブに受け止めている可能性がある、とハンギョレ新聞は伝えている。
<ハンギョレ新聞「米国のセンシティブ国指定…保守権力の核武装論と戒厳が招いた外交大惨事」>
しかし、韓国が軍事機密や最先端技術などの「機微情報sensitive information」に対するセキュリティがいかに脆弱であるかは、今回の弾劾裁判の過程でも白日の下に晒された。米国の「センシティブ国」指定の背景には、韓国のそうした国情に対する懸念があるのは明らかだと思う。
弾劾裁判への証拠として提出された「北朝鮮指令文」
前回の当ブログでもお伝えしたが、北朝鮮の指令を受けた従北左派勢力が北朝鮮のスパイとして韓国で暗躍している、まさにスパイ天国といっていい実態について、弾劾裁判の法廷で尹大統領弁護側が証拠として提出示した北朝鮮からの実際の指令文で見てみよう。
例えば2019年1月24日付の指令で、「KIA自動車の華城(ファソン)工場および光州(クァンジュ)工場を掌握せよ。主要統治機関および華城地域の軍関連施設の実態を把握せよ。青瓦台(大統領府)をはじめとする主要統治機関の送電網に関する資料を入手せよ。華城・平沢(ピョンテク)の海軍第2艦隊司令部、平沢火力発電所、LNG貯蔵タンク施設、平沢埠頭の配置図などの資料を収集せよ。青瓦台、検察、統一部などの機関に自由に出入りできるよう人脈関係を強化せよ」などの具体的な工作指示があった。また、こうした情報を入手するためには軍事施設の工事に参加した建設企業の労組員を使えという指示もあった。
また「盧武鉉(ノ・ムヒョン)文在寅(ムン・ジェイン)支持勢力と連携し、自由韓国党(与党「国民の力」の前身)の解散を目指す全国的な団体を組織し、朴槿恵(パク・クネ)大統領退陣を求める「ろうそくデモ隊」と同様の反保守闘争の影響力を確保せよ」との指令や、女性労組団体を前面に押し出し、自由韓国党は女性を「子供を産む道具」として見なす政党であり、『女性蔑視の性差別政党』であることを広く認識させ、保守政党への嫌悪感を増幅させよ」との指令もあった。「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)設置や選挙法改正に反対する保守勢力に対し、大衆の怒り爆発させよ。検察改革案が国会を通過するまで自由韓国党を集中的に攻撃せよ」との指令も発せられていた。
スパイ組織は2020年4月15日に実施された第21代国会議員選挙の当選者300人の個人情報を北朝鮮側に漏洩させていた。また高位公職者犯罪捜査処の設置や不正選挙疑惑を提起する未来統合党(「国民の力」の旧名)の勢力を『積弊勢力』として糾弾し、『選挙不正集団、反統一勢力』として排除し、抗議闘争を展開せよ」との指令もあった。
そして、現在から見て、実に驚愕すべきは、民主労総が過去に進めた具体的な大衆行動の一つひとつ、また「共に民主党」が主張した政策やスローガンの多くが、これら北朝鮮の指令そのものであり、北朝鮮の指令に基づいて、実際の具体的な行動を現実に行っていたという事実である。
北朝鮮の指令こそ韓国反日運動の真相
たとえば指令文の中には、日本に関連する具体的な工作の指示もあったが、以下の指令は日本に対する反日抗議運動として、すべて実際に行われた事実があった。福島原発処理水の海洋放出問題が韓国で騒がれたのは記憶に新しいが、北朝鮮の指令は、この処理水放出を利用し、反日世論を煽り、「韓日関係を修復不可能な状態に追い込め」との指示や、宣伝・広報手段を駆使し、処理水の放出を「朝鮮半島および周辺諸国への核テロ行為だ」と位置づける内容の記事を集中的に掲載せよとの指令が下された。実際に韓国では野党「共に民主党」や民主労総など左派系市民団体を中心に、激しい反日抗議活動が展開され、メディアによる大量の対日批判記事が掲載されるなど、これらの指令がそのまま実行に移されたのは誰もが目にしたことだった。東京オリンピックへの参加拒否、日本水産物の全面輸入禁止、日本商品不買運動等の形式で対日強硬姿勢を取るようにという指令も出された。
また、左派野党の李在明代表は処理水放出を北朝鮮の指示どおりに「核テロ」と呼び、「第2の太平洋戦争だ」とさえ言って煽ったほか、自らハンガーストライキを行って反日パフォーマンスを繰り広げた。また検出されるはずのない放射能汚染を疑って、周辺海域での海水検査や日本産水産物や輸入品に対する徹底的な放射能検査に血道を上げた結果、福島「汚染水」という名の“怪談”やデマによって支出することになった国家財政は1兆6000億ウォンが投入されたとの報道があった。
弾劾裁判でも弁護団側はこれらの事実と報道記事を証拠として提出している。韓国における反日運動は、日韓基本条約で解決済みの慰安婦や徴用工をめぐる対日賠償請求の問題を含めて、その裏にはすべて北朝鮮の存在があり、北朝鮮の指令に基づいて慰安婦支援団体や訴訟活動を行う弁護士らが策動していたことが分かる。
憲法裁判所の法廷で尹大統領弁護団のキム・ケリ弁護士は「これが日本に対する反日運動の真実だ」と堂々と主張していた。 (続く)
尹大統領弁護団キム・ケリ弁護士(右の女性)
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