大統領弾劾裁判④ 金正恩を擁護する韓国学生組織があるという奇怪

韓国野党の異常な外交姿勢が浮き彫りになった

前回のブログでも取り上げた、米国エネルギー省が韓国を「センシティブ国」に指定したことについて、野党「共に民主党」の李在明代表は17日、そうした事態を予想していたとした上で「完全な外交の失敗であり、無能な政府の国益を害する失策だ」と非難した。ところで与党「国民の力」によると、去年12月、尹大統領に対する弾劾訴追案が国会に提出されて以来、米国の外交・安全保障の専門家たちからは様々な警告が発せられていた事実があった。それは弾劾訴追の理由の一つに「いわゆる価値外交という美名の下で、北朝鮮と中国、ロシアを敵対視し、日本中心の奇妙な外交政策にこだわった」という部分があったためだ。これについて米議会調査局の報告書でも深刻な懸念が示していた。また米国の専門家たちは、韓悳洙(ハン・ドクス)総理の弾劾訴追で韓国の政治的危機が一層深刻化していると判断し、従北・親中・反日の姿勢を基本とした「共に民主党」の政策が、韓米関係にも緊張をもたらす可能性があると見ていた。

李在明氏は一方的に政府・与党を批判し「外交の失敗」だと発言するが、自身や共に民主党が行ってきた「外交の失態」については一顧だにしない。李在明氏自身が800万ドルの対北不法送金疑惑で裁判を受けている身分であり、スパイ法改正を先送りにしている共に民主党であり、さらに文在寅政権のサード軍事機密の中国への漏洩疑惑など、李在明代表と共に民主党の外交・安全保障リスクは数え切れない。世界の人々は李在明氏と「共に民主党」の危うさに対して、批判と疑惑の目を向けていることを知るべきだ。

なぜなぜ韓国「アメリカが韓国を「敏感国家」に指定していました」

大学キャンパスにまで拡大した左右対立

ところで韓国では、尹大統領による非常戒厳発令とその後の弾劾裁判をめぐって、賛成と反対に分かれ、国を二分する対立が続いている。それは地域社会全体から各家庭の中にまで及び、さらには大学のキャンパスの中でも、学生同士が賛否をめぐって激しく対立し、相手の主張を物理的な暴力で威圧しようとする動きさえ発生している。そして今の政治の現状を憂い、声を上げるという動きは、未来を担う中学・高校の生徒たちにも及んでいる。

             (2月17日 ソウル大で時局宣言を行った集会)

ソウル大をはじめ、延世大、高麗大、梨花女子大など有名大学を含めて、全国各地の大学で、尹大統領を支持し弾劾に反対する学生らが大学キャンパスで自主的に集会を開き、「時局宣言」と銘打って意見表明をする場が相次いで設けられている。そうしたなかで、これらの時局宣言と弾劾反対の集会を妨害するため、わざと同じ場所、同じ時刻に弾劾賛成派の学生らが集会を開き、大音量のスピーカーで相手の集会を妨害したり、手にしたプラカードで相手の学生を殴りかかるなどの物理的暴力も発生している。

そして弾劾反対派の時局宣言の動きを封じ込めようと組織的に動いているのが、「大学生進歩連合」という学生団体で、従北左派の立場で従来から反日・反米活動を行ってきた組織だ。例えば、福島処理水の海洋放出に反対してソウルの日本大使館前の路上で座り込みを行い、男女の学生が集団で断髪するパフォーマンスを行ったり、旧日本大使館前の歩道に慰安婦団体が設置した少女像をめぐって、像の撤去を求める保守系の市民団体に対抗して、「少女像を守る」と称して、少女像に自分の体をロープで巻き付けて抵抗したり、少女像のそばにテントを張り、24時間365日、監視の座り込みを実行するなど、何かと過激な行動で知られている。

その大学生進歩連合に、時局宣言の集会を妨害された弾劾反対派の学生たちは、各大学から代表が参加し、大学生進歩連合の実態を告発する記者会見を国会で開いた。以下は、記者会見で明かされた、彼らが行ってきた反国家的活動の実態である。

なぜなぜ韓国3月10日「韓国大学生の時局宣言を妨げている大学生進歩連合」

今どき全体主義独裁体制を礼賛する若者がいるとは!?

驚くべきは、今どき、自由も人権もない北朝鮮の全体主義的専制国家体制を賞賛する若い学生が韓国には存在し、一定の勢力を保っているという事実だ。まず彼らが行った反米活動について、記者会見では次のような事例が紹介された。

2019年10月4日、光化門広場で「独島(竹島)訓練に干渉し、日本を助ける米軍、軍事主権を侵害せずこの地を去れ」という垂れ幕を掲げ、米軍糾弾デモを行った。2022年5月20日には、烏山(オサン)空軍基地前でバイデン訪韓と、米韓軍事演習に反対するデモを行った。彼らは休戦状態にあるは朝鮮半島で、自由陣営であるアメリカとの軍事連合に反対してきた。彼らは連邦制の統一を夢見ているので、それを阻止する米軍の駐留と韓米連合訓練に反対している。

次は親北朝鮮活動について。彼らがYoutubeに上げた映像には「金正恩国務委員長と未来」、「金正恩国務委員長が行く道」、「金正恩国務委員長と継承」と題された動画が投稿され、大学生進歩連合は金正恩政権に魅了された集団であることがわかる。彼らは金正恩研究集会を通じて、こうした北朝鮮の体制を認める平和統一を主張、北政権を受け入れる赤化統一思想を注入してきた。

記者会見を行った弾劾反対派の学生らは、「大学生進歩連合は李承晩や朴正熙を認めず、自由民主主義に反対し、北朝鮮をほめたたえ、韓国の国家観と歴史観を貶める非常識な集団だ」と主張する。そして大学生進歩連合は、自由民主主義を守護し、共産化に反対する尹大統領に対して、就任当初から退陣を要求し圧迫してきた。そして今回の尹大統領による非常戒厳とその後の弾劾裁判の過程では、尹大統領を支持する弾劾反対派の学生らに対し、取り囲んで大声と罵詈雑言を浴びせ、横断幕や看板を破壊し、憲法で保障された集会の自由と表現の自由を侵害したとして、「大学生進歩連合自身が内乱扇動者か反国家集団」だと非難する。

非常戒厳を経て国家の危機に覚醒した若者世代

記者会見で発言した梨花女子大の学生代表は、「大学生進歩連合側の違法集会主催者は、金正恩歓迎委員会を名乗る組織の委員長だった。21世紀に自由民主主義の韓国に住みながら、全体主義独裁国家の指導者を賞賛し歓迎できるのか?尹大統領を弾劾しようとする勢力は、単に大統領一人の弾劾を求めているのではなく、自由民主主義体制自体に弾劾を求めていることが分かった。したがって私たち大学生は反国家勢力を一掃するという尹錫悦大統領の意志に賛同し、違法な弾劾が却下され、自由民主主義の大韓民国が再建されるまで決して引き下がることなく最後まで戦い続けます」と宣言した。

大学生進歩連合は、親北朝鮮で反日・反米の姿勢を貫いているが、衝撃的なことは、反保守・反米・反日行動に関する活動が、「民主労総スパイ事件」の裁判を通じて明らかになった北朝鮮の指令文と同じ行動だったことだ。つまり民主労総と同じく大学生進歩連合も北朝鮮に指令に基づいて行動する組織だったのである。弾劾反対派の学生らは、こうした事態を見て、尹大統領が非常戒厳を発令する際に、なぜ「反国家勢力」という表現を使ったのか理解できたという。

一方、野党「共に民主党」は、尹大統領を支持し弾劾に反対する学生らに対し、「極右」というレッテルを貼り、カカオトーク検閲やインターネットによる「民主派出所」を通じて、その行動を監視し、糾弾すべき対象だとしている。つまり「表現の自由」など国民の基本権を侵害し、真実を語ることを恐れるように仕向けているのだ。

しかし非常戒厳と弾劾裁判を通じて、韓国の現状に覚醒した若者たちには、そんな脅しは通じない。反国家勢力の正体を明らかにし、自由民主主義国家の韓国を守ろうとする若者らの活動は今後も勢いを増すことを信じている。  (続く)

富士の高嶺から見渡せば

大学で中国語を専攻して以来、半世紀にわたって中国・香港・台湾を見続け、朝鮮半島にも関心を持ち続けてきました。これらの国との関係は過去の歴史を含め、さまざまな虚構と誤解が含まれています。富士の高嶺から、雲海の下、わが日本と周辺の国々を見渡せば、その来し方・行く末は一目瞭然。霊峰富士のごとく毅然、敢然、超然として立てば、視界も全開、隣国を含めて同時代の諸相に深く熱く切り込めるかもしれません。

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